中国主導の「一帯一路」会議  米国が一転して参加した意味

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中国がバージョンアップする「グローバル化2.0」

   近年、グローバル化の退潮がますます深刻になり、国際貿易の需要が低迷を続け、世界経済の回復に重大な影響を与えている。

   国際通貨基金(IMF)のデータによると、2016年の世界貿易の伸び率はわずか2.2%で、2010年以来最も低い数字であった。最も憂慮すべきは、ポピュリズム、保護主義、孤立主義が世界で台頭しつつあり、世界貿易の摩擦は絶え間なく激化し、反グローバル化、反一体化の傾向がますます強まっていることである。オランダ、フランスの選挙でポピュリズムの台頭は一時的に抑えられたが、ヨーロッパのポピュリズム政党の支持率は過去最高の数字になっており、グローバル市場の新たなリスク源となっている。世界経済はすでに「グローバル化の退潮―経済減速―ポピュリズムの高まり―グローバル化の退潮」という悪循環に陥っている。責任を負うグローバル大国は、グローバルガバナンスの公共財を積極的に提供し、この悪循環を断ち切らなければならない。

   これらの目標の達成は、超大国である米国の支持なしにはなし得ない。

   実際、トランプ政権が行っている「取引外交(transactional diplomacy)」は、価値観やイデオロギーの影響をあまり受けず、実務的である。米国と中国が「一帯一路」の枠組み内で協力する余地は確かにある。

   金融を例にとって説明しよう。アジア開発銀行(ADB)の予測によると、「一帯一路」沿線地域のインフラ建設を行うには、毎年1兆7000億ドルの資金が必要だという。ただ、中国もかかわっている関連3機関(AIIB、新開発銀行(BRICS銀行)、シルクロード基金)の資本総額は2400億ドルにすぎない。このことは、米国が重要な融資分野において、「一帯一路」イニシアチブに参加できることを意味している。

   また、オックスフォード経済研究院の統計によると、近年、中国は毎年「一帯一路」沿線諸国に総額1300億ドルの借款を供与している。その大部分は国家開発銀行ではなく、商業銀行からの資金である。以前、中国の国有銀行と開発銀行はリスク評価と管理監督が甘かったため、初期の海外投資プロジェクトで多くの損失を蒙った。そのことから、中国の銀行は海外融資プロジェクトに対しより慎重な態度をとるようになった。欧米の金融機関の参加は、投資収益の保障と資本運営への監督管理の強化にプラスとなる。そのため、米国の商業銀行とその他の金融機関の参加は、中国の投資リスクの分担にプラスになりうる。 このほか、「一帯一路」イニシアチブは、エネルギー、インフラ、大型機械、通信、ITなどの分野でも米国企業に大きなビジネスチャンスをもたらす。林毅夫・北京大学教授の試算によると、発展途上国のインフラ建設投資が1ドル増えるごとに、0.7ドルの輸入をもたらすが、そのうち0.35ドルは先進国からの輸入である。このことは、ゼネラル・エレクトリック(GE)、キャタピラー、グーグルなどの企業が将来、「一帯一路」によって恩恵を受けることができることを説明している。

   CCGの王主任は「イギリス主導のグローバル化が0.0版だとし、米国主導のグローバル化が1.0版だとすれば、『一帯一路』は中国がバージョンアップに関わったグローバル化2.0版である」とみている。

(ジャーナリスト 陳言)

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