産経・読売すら冷ややか 「政権が応援」大阪万博の行方

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カジノ問題

   新聞各紙の中で、最も微温的な論調なのが日経(4月25日)で、「実現すれば、地盤沈下が指摘される関西や大阪の経済活性化に大きく役立つだろう。(略)長年の懸案だった大阪湾岸の開発にも弾みがつくことになる」と、かなり高評価だ。ただし、中身については「招致に向けた国民の機運を高めるためにも、その具体的な姿を早く肉付けすべきだろう」と、軽く釘をさす。

   これ以外の各紙は、まずテーマ、コンセプト、さらに裏にある思惑も絡めて辛口の評価が目立つ。毎日(4月15日)は、「経済活性化を追い求めるだけでは世界からの支持を集めることはできない」として、特に、「世界お笑いグランプリ」「仮想現実でゲームキャラクターと対面」といった事業例について「地球規模の共通課題の解決策を考える万博にふさわしい事業と言えるのか疑問が残る」と指摘。朝日(3月26日)もテーマについて「全般に漠然としてインパクトを欠く。(略)多くの要素を盛り込もうとしたあまり、かえって万博の統一的な方向性が見えにくくなった感が否めない」と冷ややか。普段は安倍政権への姿勢で朝日や毎日と対立することが多い産経(4月25日)に至っては「総花的になっていないか。(略)松井知事が代表を務める日本維新の会と安倍晋三政権が、良好な関係を保つツールとして万博を取り上げている印象も受けた。内容は後付けで、という程度の発想では、国民の共感など得られまい」と、最も手厳しく切って捨てる。

   大阪万博構想で、特に問題視されるのがカジノ。これには、やはり普段は安倍政権を応援する論調が多い読売(4月13日)が最も強い言葉で批判。「人類共通の課題を国際社会と共に考える万博の理念は、ギャンブルとは相容れない。府民には、カジノ開設に対する拒否反応が強い。このままでは、誘致の機運は盛り上がるまい」と断じている。毎日も「万博との並行事業とするには問題が多いが、議論はほとんどなかった」と苦言を呈し、日経でさえ、この点については「カジノに対してはギャンブル依存症の増加や反社会的勢力の介入など様々な負の側面が指摘されている。万博とカジノは別問題ととらえたい」と、やんわりとではあるが、牽制している。

   このほか、資金集めへの危惧も目立ち、「企業には『見返りがなければ、資金は拠出できない』といった声が多い」(読売)、「肝心の関西財界の一部には、経済的負担を理由に消極性もうかがえる。誘致の実現へ一丸となれるのか」(産経)、「関西の企業からは『一過性のイベントに資金を出すのは難しい』との声が相次ぐ」(朝日)など、地元経済界の盛り上がりを欠くことに、懸念の声が並ぶ。

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