フェイスブック画像を見せて脳の働きを調べる
研究チームは、18~23歳のフェイスブック利用者20人を対象に、まずフェイスブックの「依存度」を測定するために、離脱症状、抑制力の喪失、葛藤といった依存の兆候について申告させた。その1週間後、磁気共鳴機能画像法(fMRI)で、2パターンの画像テストにより被験者の脳の働きを調べた。ひとつは、4種類の画像のうち3種類は交通標識、1種類はフェイスブックのロゴで、交通標識が見えた時だけボタンを押すというテスト。もうひとつは、逆に4種類中3種類がフェイスブックに関連する画像で、それらが表示された時にボタンを押すというものだ。それぞれのテストでは、ボタンを押すべき機会は120回、そうでない機会は40回に設定され、画像はランダムに表示された。ただし「押さない」機会は連続しないようにした。画像の表示時間は0.5秒、画像表示の合間は1.5~4秒間、全く別の固定静止画を出した。
テストとfMRIによる脳の分析の結果、フェイスブック関連の画像が表示された際、脳の中で不安や恐れといった情動にかかわる扁桃体や線条体が活発化した。扁桃体は、各種研究で薬物やアルコール依存による影響が指摘されている部位だ。さらに画像テストのスコアからみて、これら脳機能のはたらきと「依存性」は相関関係ありとした。
論文の要約のなかで研究チームは、「少なくともこの研究レベルにおける依存的な症状において、テクノロジーに関連する『依存』は、薬物やギャンブルによる神経系の特徴を有することを示している」としている。半面、「テクノロジー依存」と薬物中毒やギャンブル依存は、脳における病因が異なっている点も言及しており、両者は全く同じというわけではないようだ。