09年以来、故障と試合棄権が続く
ただ気になることがある。故障だ。多すぎる。
09年に右ヒジの内視鏡手術を受けてから、故障と試合棄権が続いている。12年は腹筋を痛めて途中棄権し、診断は「全治1か月」。13年は左ヒザを痛め、やはり途中棄権。14年も左股関節痛で、またもや途中棄権した。
15年には左ふくらはぎを痛めた。ウィンブルドン(全英)に出場しながら棄権するという悔しさを経験している。
全身傷だらけなのである。それは精神的にも影響しているのだろう。今年のリオ・オープンで負けたとき、ラケットをコートに投げつけ、観客からブーイングを受けた。錦織らしからぬ行動に驚いたものだった。
16年の全米で準優勝したとき、確か「スポーツマンシップ賞」に選ばれている。世界が認める名プレーヤーになっただけに違和感が残った。
プロ選手としてはもう通算獲得賞金1000万ドルを稼いだ。世界ランクも5位まで行ったし、今は8位。超一流である。
全仏は今月28日にパリで始まる。
「筋肉の痛みは我慢できる。でも手首は骨がたくさんあるから...」
こう語る錦織には不安がうかがえる。
たとえば1年ほど休んで治療に専念したら、と気をもむファンは多いはず。と同時にテニスは想像以上に激しいスポーツだということが改めて分かる。世界で戦う厳しさを錦織は背負っている。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)