乳がんは日本人女性がかかるがんのトップで、最近若い世代に増えている。40~64歳までの年代では、がんの死亡率の1位だ(2014年データ、国立がん研究センター調べ)。
母乳の検査で乳がんの兆候を調べる研究が米国の学会で発表された。実現されれば、特に早期発見が難しい若い女性たちに朗報だが。
日本人女性の5割以上がマンモでは発見しにくい
乳がんの早期発見のカギを握るのが検診だが、国が40歳以上の女性にすすめる乳房エックス線撮影(マンモグラフィー)だけでは異常を見つけにくい。乳腺の密度が高い「高濃度乳房」が日本人女性に多いためだ。密度が濃いと画面では全体が白く写り、がんなどのしこりも白く写るため判別しづらい。同じく判別しにくい「不均一高濃度乳房」も含めると、日本人女性の5割以上はマンモグラフィーに不向きだと指摘する専門医もいる。
日本乳がん学会でも、ウェブサイトの「Q&A 乳がんについて教えてください」の中で、「一部の乳がんはマンモグラフィーで写し出せない場合があることも知られており、マンモグラフィー検診を受けていれば万全ということではありません。マンモグラフィー検診を受けて『異常なし』と判定されていても、自己検診などでご自分の乳房に何か気になることがあれば医療機関を受診してください」と説明している。
このため最近は、集団検診に超音波検査を併用する自治体が出始めている。超音波だと、がんなどのしこりが黒く写り、白く写る乳腺と区別しやすい。しかし、2017年5月現在、厚生労働省は「健診に加えることで死亡率が減少するか、まだ不明」として推奨していない。導入していない自治体に住む女性は、超音波を希望する場合、医療機関に行き自費で受けなければならない。