体中から噴き出ている「皮膚ガス」が凄すぎる
そのにおいの成分を分析すると、ペラルゴン酸だった。こちらも古いアブラのにおいがする。ペラルゴン酸とは何か。汗や代謝の専門家、日本福祉大学准教授の西村直記准教授がこう説明した。
「ペラルゴン酸は皮脂が酸化すると発生します。女性の皮膚の酸化のスピードが上がってくるのは30代からなのです。皮脂自体は男性の方が多いので、男性の方がにおいやすいのは事実です。しかし、酸化は女性にも起こります。このペラルゴン酸が増えてくると、加齢臭になります」
30代の加齢臭の元はペラルゴン酸だが、40代になると、よりにおいがキツいノネナールという成分が中心になり、加齢臭が本格化する。
ゲストのフリーアナ・高橋真麻「ひゃ~! ショックです。私、35歳だからもう始まっているのですね」
においに強弱があるとはいえ、男性では「ミドル脂臭」、女性では「加齢臭」が30代から始まるのだ。ところで、気になるにおいといえば、口臭が代表的だが、食べたもののにおいが出てくる場所は口以外にもある。意外な場所から出ているのだが、それを、におい分析のエキスパート、東海大学の関根嘉香教授が実験で明らかにしてくれた。
学生たちと次のような実験を行なった。男女5人の学生たちに腕時計型の「におい検知器」を装着させ、においが気になる食べ物「にんにく」と「アルコール」を食べてもらった。そして、ビニール袋に吐いた息を1時間ごとに測定した。すると、口臭では、アルコールは1時間後に、にんにくも4時間後には「人が気になるレベル」のにおいが消えた。しかし、「におい検知器」を見ると、アルコールは5時間後まで、にんにくは10時間後まで「気になるレベル」が続いた。
口臭は消えたのに、この悪臭はどこから発生しているのか。それは「皮膚ガス」だ。全身の皮膚からにおいのガスが出続けているからだ。実際に皮膚の表面を特殊な拡大画面で見ると、微小な汗のような液体の粒がビッシリとにじみ出ている。これがにおい成分で、それが蒸発してガスになっているのだ。
MCの後藤「先生、これはオナラみたいなものですか」
関根教授「そのとおりです。人間の体は目に見えない水蒸気のベールにいつも覆われています。それが体臭です。人間は動物と同じ、におう存在なのです」
体臭に包まれている私たちのカラダ。においのケアは、どうしたらよいのだろか。これまでの常識が間違っていることを後編で紹介する。