HPへの掲載は「公衆送信権」を侵害する
ネット上のJASRAC批判は、大学の総長による式辞で歌詞を「引用」し説く事の何が悪いのか、なぜ著作権料を請求する必要があるのか、という疑問から生じている。学問の場であり、それも教育として使っているのに「言葉狩り」のような形でJASRACは利益を得ようとしている、という怒りだ。
実際のところどうなのだろうか。J-CASTニュースが公益社団法人の著作権情報センター(CRIC)に取材したところ、
「京都大学は明らかに著作権侵害をしています」
と担当者は断言した。歌詞を式辞に使ったことではなく、それをHPに載せたことが問題となるという。著作権法35条などによれば、歌詞を無許可でHPに掲載することは、公衆送信権、複製権、上演権・演奏権を侵害することになる。複製権、上演権・演奏権の場合は、先生が歌詞をコピーし生徒に配っての授業や、営利目的ではない演奏など、無許可で行うことも可能なものがあるが、今回の場合は公衆送信権が最も問題なのだという。これは、
「著作物を自動公衆送信したり、放送したり、有線放送したり、また、それらの公衆送信された著作物を受信装置を使って公に伝達する」(著作権情報センターHPより)
権利であり、つまり、ボブ・ディランさんの歌詞を許可を得ずにインターネットで公開した、というのが問題になっている。
「JASRACの場合はアメリカの著作権団体と相互契約し管理を委託されていますから、京都大学に声をかけた、ということなのでしょう。歌詞は全部でなくても一節でもアウトになります」
と担当者は説明した。
それでは式辞をHPに載せる場合に、今回のボブ・ディランさんのような歌詞がある場合はどうすればいいのか。JASRAC広報は取材に対し、
「こちらから連絡する場合もありますし、歌詞があることが分かったならば事前にJASRACに連絡いただければ詳しく説明します。利用料が発生するかどうかはケースバイケースです」
と語った。