三原じゅん子氏、自民男性議員ヤジに激怒 がん患者発言に「はらわた煮えくり返る」

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   「はらわたが煮えくり返るほどに腹が立つとは、このことかと......」――自民党の三原じゅん子・参院議員は2017年5月19日、J-CASTニュースの取材に対しこう答えた。口調こそ穏やかだが、電話の向こうからは静かな怒りが伝わってきた。

   三原議員をあきれさせたのは、15日に開催された自民党・厚生労働部会での、ある議員の「心無い」ヤジだ。

  • 三原じゅん子参院議員の15日のブログ。「怒り」と題された
    三原じゅん子参院議員の15日のブログ。「怒り」と題された
  • 三原じゅん子参院議員の15日のブログ。「怒り」と題された

がん患者は「働かなくていい」

   受動喫煙対策の強化をめぐり、厚生労働省は今国会への法改正を目指している。しかし、飲食店などの建物内を「原則禁煙」とする厚労省案に対し、自民党の一部には根強い反発がある。15日の厚生労働部会は、その解決を目指して開かれた。

   三原自身が子宮頸がんを患った経験があり、女優時代から各種の啓発活動に携わってきたこともあり、受動喫煙の対策強化に積極的だ。

「私自身、再発のことを考えると、タバコの煙は『恐怖』です。再就職にたいへん苦労されているがん患者の方にとって、ようやく得られた職場で、煙がもくもくと上がっているというのが、どれだけ恐ろしいことか」(三原議員)

   部会で三原議員は、がん患者の立場から、上記のような意見を訴えた。ところが、これに対して、ある議員からヤジが上がったというのだ。

   ヤジの内容を、「Yahoo!個人」で認定NPOフローレンス代表理事・駒崎弘樹さんが議事録を入手したとして、次のように記している。

「(がん患者は)働かなくていいんだよっ!」

   三原議員に確認すると、言葉を選びつつ、「そちらに書いてあった通りです」とヤジの内容を認めた。その言葉を聞いた瞬間の思いを聞いたところ、返ってきたのが冒頭の「はらわたが煮えくり返るほど......」の言葉だった。

全がん連も「抗議」声明を発表

   一連のやりとりを、具体的なヤジについてはぼかしつつも三原議員は15日、「怒り」と題してブログに投稿した。17日には、上記の駒崎さんがYahoo!個人でその詳細を明かしている。そして18日、全国がん患者団体連合体はこの件について抗議声明を発表した。

   全がん連はこの発言が、政府が進める「がんの治療と職業生活の両立を支援するための取組」に反するものだとするとともに、

「がん患者の就労のみならずその尊厳を否定しかねないものであること、受動喫煙防止対策の推進を阻害しかねないものであると考え、全国がん患者団体連合会はここに抗議を表明するとともに、働くことを希望するがん患者に対する就労支援の推進と、建物内禁煙を基本とした実効性のある法的措置を講じることを、改めて強く要望いたします」

と、強い口調で訴えている。

   ヤジの主、と見られる議員の名前を、三原議員は明かさない。だが、その議員からは18日、「『自分は言っていない、発言したことはない』という連絡がありました」という。

「これ以上は水掛け論になってしまいますが、たくさんの方も聞いているし、音声の録音もあります。何より、本人が心の中でわかっていることでしょう。すべてのがん患者の方に謝罪していただきたいという思いでいっぱいです。とにかく思い直して、せめて心の中ででも謝ってほしい」

部会長からは言及を控えるよう求められたが

   部会という非公式の場での発言でもあり、三原議員も部会長から、この問題について表だって言及することを控えるよう求められたというが、傷ついた「仲間」たちのことを思うと、「話を聞かれても答えない、ということはできなかった」と取材に応えた理由を語る。

「精神的にも肉体的にも傷ついて、それでもなお働きながら治療して、そういう方に寄り添ってサポートしていくのが政治の仕事ではないのでしょうか。がんを患った方は、全国にいっぱいいます。その方一人ひとりの思いがわからないというのは、私には許せない」

   受動喫煙に関する法改正は、自民党と厚労省の溝が埋まらず、今国会での成立は困難との見方が強い。一方、都議選では小池百合子都知事率いる都民ファーストの会、自民都連の双方が対策条例の制定を公約に掲げるなど、注目が集まっている。

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