老化・病気のカギを握るテロメア ヨガとジョギングが健康長寿にいい理由

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テロメアが減るとがんや認知症になる

   テロメアが減少し短くなると、がんなどの深刻な病気が起きることが明らかになってきた。テロメアとがんとの関係を研究している、東京都健康長寿医療センター研究所の相田順子医師がこう説明する。

「40代以降のがんの主な原因がテロメアの減少にあると考えています。食道がんの患者から、がん細胞の近くにある細胞を取り出し、テロメアを調べました。すると、テロメアが年齢平均より大幅に減り、短くなっていたのです。テロメアが短くなると、染色体が不安定になってくるので、遺伝子の変異が起きやすくなり、がんになりやすいというふうに考えられます。食道がんのほかに、口腔がん、すい臓がん、皮膚がんもそうです」

   さらに、米国の研究ではテロメアの減少が認知症に関係していることがわかった。米ハンティントン医療研究所のケビン・キング医師が語る。

「2000人の脳の画像とテロメアを分析したところ、テロメアが減り短くなった人ほど、脳が萎縮していたのです。特に、記憶をつかさどる海馬の萎縮が顕著でした。海馬が縮小すると、認知症のリスクや脳機能が衰えるリスクが高くなります。テロメアの短縮が、脳の老化に深く関係しているのです」

   では、テロメアを伸ばすにはどうしたらよいのだろうか。実は、テロメアは年を重ね、細胞分裂のたびに短くなっていく一方だとされていたが、その常識を覆したのが、ブラックバーン博士たちが発見した酵素「テロメラーゼ」だ。テロメラーゼは、テロメアが短くなるのを遅らせたり、さらに伸ばしたりする働きまであるのだ。博士はこの画期的な発見でノーベル賞を受賞した。発見当時、人類が何千年も待ち望んだ「夢の不老不死薬かもしれない」と騒がれた。現在、日本でもテロメラーゼ入りのサプリが約1万2000円(30錠)ほどで売られている。しかし、博士はサプリでテロメラーゼを外からとることは勧めない。

ブラックバーン博士「私は、サプリには賛成できません。長期的に試用されて(安全を確認されて)いないからです。もう1つの理由は、テロメラーゼが過剰になると害があるからです。テロメラーゼは心臓病や認知症などの病気のリスクを低下させますが、残念ながら過剰になると、逆に、特定のがんのリスクを高めてしまいます」

   マウスを使って背中にテロメラーゼを人工的にたくさん作らせる実験をすると、確かに皮膚は若返ったように見えるが、それと同時にがんがたくさん出来ることが分かったからだ。もろ刃の剣なのだ。

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