石井一久「絶対にあの回は投げきってほしいと思っていた」
快投に球界関係者も目を丸くした。野村克也氏(81)は18日付のサンケイスポーツで「明らかに巨人打線を圧倒していた」と評価。150キロ台の速球はスピード以上に「腕の振りのよさ」を見た。「故障した右肩をカバーするそぶりはまるでなく、全力で投げ込んでいた」と回復ぶりを感じ、「速い球を投げる能力は天賦の才」と評した。さらに「『打てるものなら、打ってみやがれ』という気持ちを前面に出していた」と精神面でも相手を上回ったとみている。
由規がプロ入りした07年、野村氏は楽天の監督としてドラフト1位指名したが、くじ引きの結果ヤクルトに譲ることになった。「10年後の今、改めて、その資質の高さを再認識させられた」と諸手をあげて「復活」を喜んだ。
元チームメートの宮本慎也氏(46)は18日付の日刊スポーツで「現役時代からケガで苦しむ姿を見ていただけに、素直に祝福したい」と称えた。
ただ、まだ復活の判断はしかねると見る向きもある。元ヤクルトの投手・石井一久氏(43)は18日付スポニチアネックスで、2塁打を許した7回に注目。「ベンチがブルペンと連絡を取るシーンがあったが、絶対にあの回は投げきってほしいと思っていた。技術論ではない。先発投手としての日常を取り戻すためにも、苦しい場面を乗り越えるのは自分でしかない」と見ていた。由規はこの回を投げ切った。投球内容について石井氏は「球威とキレは十分にある。今後は試合の中で、その日のいい球種を自分で探せるようになること」と展望を示した上で、「中6日で投げる状態に戻ってこそ、由規の完全復活だと考えたい」としている。