「気持ちを全面に出していきました」。ヤクルト・由規投手(27)は7回無失点で勝ち星をあげた巨人戦翌日、自身の投球を振り返った。
ただの1勝ではない。巨人戦勝利は2083日ぶり。けがに苦しみ、1軍登板のない期間が4年もあった。復帰後も長いイニングを投げる試合はほとんどなかった。それだけに今回の登板は、野村克也氏(81)ら評論家にも「完全復活」を印象付けた。
7回2安打無失点、3塁踏ませず
由規は2017年5月17日の巨人戦に先発。150キロ台のストレートを連発し、ピンチを迎えても冷静に球を低めに集めた。剛速球だけに頼らず、随所でスライダーやフォークを織り交ぜ、巨人打線を翻弄した。終わってみれば7回108球、3塁すら踏ませず2安打無失点。申し分のない投球内容だった。
今なお破られていない甲子園最速の155キロをマークし、07年にドラフト1位を受けて鳴り物入りでプロ入りしたが、苦難の時期が長かった。10年には当時の日本人投手最速161キロを計測し、12勝(9敗)をあげたものの、翌11年からは右肩のけがに悩まされた。
12~15年の4年間は1軍登板ゼロ。手術を経て16年に1軍復帰したが、2勝3敗、防御率4.56でシーズンを終えた。登板間隔はけがも考慮して中10日以上空けられていた。「復活前夜」の1年だったのかもしれない。
そして17年シーズンの初戦、5月5日のDeNA戦は6安打3失点、4回途中でマウンドを退き敗れたが、本人は冷静だった。「スライダーに頼りがちだった」と分析し、持ち味であるストレートを軸にした17日の圧巻のピッチングにつなげた。巨人戦の勝利は11年9月3日以来、実に2083日ぶりだった。
由規自身、試合翌日のツイッターで「今季初勝利を挙げることができました!前回の登板で本当に悔いの残る投球をしてしまったので、気持ちを全面に出していきました!そして野手の方に助けてもらい、自分優位にピッチングすることができました!感謝です。またひとつ、ひとつ勝利を積みかさねていきたいと思います!」と大きな手応えを感じたようだ。