三菱自・益子社長が余裕の発言 V字回復シナリオに自信

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   三菱自動車株が、業績の「V字回復」期待で急伸した。2017年5月9日の取引終了後、17年3月期連結決算と18年3月期の業績予想を発表。これを受けた10、11日と連日、年初来高値を更新し、株式市場を賑わせた。16年4月の燃費データ不正問題公表から1年余り。日産自動車の傘下で業績立て直しを目指すなかで具体的な成果をあげつつあることが投資家にとって好材料となっている。

   東京都内の三菱自本社内で決算発表する記者会見場に現れたのは、益子修社長。不正問題が発覚し、日産傘下に入った後も結局、トップに留任し続けて今日にいたる。益子氏は今後の進退を問われたが、「しかるべき時期に自分で判断する」と余裕の発言。「余人を持って代え難い」と、三菱グループのみならずゴーン氏にも思わせる何かを持っているのだろう。

  • (画像は三菱自動車公式ホームページより)
    (画像は三菱自動車公式ホームページより)
  • (画像は三菱自動車公式ホームページより)

営業黒字を確保することに成功

   終わった期、すなわち2017年3月期の連結純損益は、問題となった軽自動車を購入した消費者への補償など燃費データ不正関連の損失を処理したことで、その前の期(2016年3月期)の725億円の黒字から1985億円の赤字に転落した。売上高は国内販売台数が2割超落ち込んだことなどを反映し、前期比15.9%減の1兆9066億円となった。本業の儲けを示す営業利益は96.3%減の51億円。一時は276億円の営業赤字を予想したこともあったが、得意の東南アジアの販売が堅調だったほか、為替も想定よりは円安に傾いた。そのため、不祥事を起こして損失を発生させた期にもかかわらず、営業黒字を確保することに成功した。

   また、2016年秋に日産の傘下入りした三菱自は、月次で生産と販売を管理する日産流の管理手法を導入。販売実績や為替動向を見ながら、より機動的に車種や生産量を調整する。また、部品購入は日産の実績を参考にメーカーと交渉している。こうした日産との提携を生かしたコスト削減の積み重ねも、営業黒字を生み出したと言える。

燃費不正のダメージ小さかった東南アジアや中国

   今期(2018年3月期)の純損益は、680億円の黒字に転換すると予想した。営業利益は2017年3月期の51億円から700億円に急増する見込み。回復の「エンジン」となる、部品の共同購入など日産自動車との提携による相乗効果は250億円に上るとはじいた。世界販売台数は、日本や東南アジアで伸ばし、17年3月期の92万6000台から11%増の102万9000台まで回復させるとしている。益子社長は「業績のV字回復で信頼を取り戻す」と強調した。

   三菱自は2018年3月期から3年間の中期経営計画を策定中だ。これまで100万台前後だった世界販売台数を、20年3月期に一気に125万台まで増やす目標を掲げる方針だ。ゴーン流の「コミットメント」経営で、年10%近い拡大を図る。燃費不正データ問題を起こした国内販売は、もともと全体の1割程度。東南アジアや中国など日本以外ではそのダメージはもともと小さいため、可能だと考えているようだ。

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