米国のトランプ大統領がロシアのラブロフ外相との会談で機密情報を漏らしたとされる問題で、さらに窮地に追い込まれつつある。トランプ氏は、ロシアと情報共有する「絶対的な権利がある」などと反論をしているが、情報が「機密」に属するか否かには答えないままだ。
そこに、ロシアとの関与が理由で補佐官を辞任したフリン氏への捜査をやめるようにFBIに圧力をかけていたとする疑惑も発覚。ロシアとの距離が近さを疑われているトランプ氏にとっては「二重苦」になっている。
ロシアと情報共有する「絶対的な権利」主張
トランプ氏をめぐる情報漏洩疑惑は、同盟国から提供された機密情報をトランプ氏がロシアに明らかにした、というもの。過激派組織「イスラム国」(IS)が航空機に持ち込まれたラップトップPCを使ってどのようにテロを計画しているか、などが内容。トランプ政権側は疑惑を否定。トランプ氏も16日、ツイッターで
「大統領として、ロシアと(日程が公表されているホワイトハウスの会談で)テロと航空便の安全に関する情報を共有したかった。私には、そうする絶対的な権利がある。人道的な理由に加えて、ロシアにはイスラム国、テロとの戦いを大いに強化してほしい」
と反論。
ロシアと「共有」した情報が機密に属するかどうかについての言及を避けたものの、報道で指摘された「航空の安全」に関する情報を共有したことを認めてしまった。
そんな中でニューヨーク・タイムズが5月16日、情報を提供した「同盟国」はイスラエルだと報じた。同紙は、今回のトランプ氏の行動が2国間の関係を傷つけるだけでなく、
「情報が、ロシアの友好国でイスラエルにとっては地域の主な脅威となるイランに渡る可能性が浮上する」
と指摘している。
トランプ氏は5月19日からサウジアラビア、イスラエル、イタリア、ベルギーを歴訪予定。大統領としての初の外遊で釈明に追われる可能性も出てきた。