そもそも鼻水は関係なかった
該当する論文が見当たらずフェイクニュースかと思われたが、豪州の健康情報メディアが4月23日に発表した記事からようやく判明した。記事の内容は鼻水に含まれる成分が虫歯から歯を保護するというもので、専門家のコメントとして「鼻水は細菌に対するフィルターであり、鼻水が腸に入ればワクチンなどと同様の効果があるのではないか」という意見が掲載されている。ここから情報が転載されていくうちに、鼻くそを食べるという話になってしまったのだろうか。
この記事で元ネタとなっている2014年に米微生物学会誌に掲載された論文「Salivary mucins protect surfaces from colonization by cariogenic bacteria.」を読んでみると、そもそも鼻水の話ではなく口や食道、胃、腸などの粘膜を覆う粘液に含まれる「MUC5B」という成分が、虫歯の原因菌から歯を守るという内容だった。著者はハーバード大学とマサチューセッツ工科大学に在籍する2人の研究者で、MUC5Bに関する論文を2017年5月11日にも別の専門誌で発表しているが、やはり鼻水の話ではない。
どうしてMUC5Bという成分が鼻水になってしまったのかは不明だが、誤解したまま伝言ゲームのように広がり、ナッパー教授の発言などが加わって誤った情報がニュースになってしまったというのが真相のようだ。