ランサムウェア「WannaCry」の感染が拡大している。単にコンピュータ・ネットワーク内だけでなく、デジタルサイネージなどの「現実世界」も浸食が進行中だ。
「近所のスーパーの商品PR用画面がこうなってた」――2017年5月14日、ツイッターに1枚の写真が投稿された。一見、なんの変哲もない、スーパーの店頭ディスプレーだ。「トップバリュ」のロゴが入っていることから、イオン系列の店舗と見られる。
「300ドル分のビットコインをこのアドレスに送りなさい」
このディスプレー画面に比較的大きな文字で
「私のコンピュータに何が起こったのですか?」(原文のママ、以下同じ) 「支払いを行わないと、ファイルを永久に回復することはできません」 「Send $300 worth of bitcoin to this address(300ドル分のビットコインをこのアドレスに送りなさい=編集部訳)」
という表示が躍っている。
このディスプレーの映像は、世界的な広がりを見せるランサムウェア「WannaCry」に乗っ取られてしまっていることを物語る典型的なものだ。
5月16日、イオン広報にJ-CASTニュースが取材したところ、「画像はすでに確認しております。現在、具体的な店舗を調査しているところです」と対応に追われていた。ディスプレーは社内のシステムとは別系統で、このディスプレー以外への影響は報告されていないという。
「WannaCry」はウインドウズの脆弱性を突いたウイルスだ。メールなどで感染が広がり、利用者の端末のファイルを暗号化、使えなくした上で、「身代金」を要求する。海外では12日ごろから感染が拡大、日本でも15日ごろから大手企業などで被害報告が相次いでいる。
海外では、ガソリンスタンド、駐車場の精算機...
いち早く感染が拡大した海外では、より被害が深刻だ。ツイッターやインスタグラムなどのSNSには、「目撃写真」が多数投稿されている。
たとえば、タイ・バンコクから15日、インスタグラムにアップされたのは、道路沿いの大型ビジョンが「WannaCry」にジャックされてしまった写真だ。
中国では、ガソリンスタンドの給油機。カナダでは、おしゃれなマンションのロビー。北欧のある国では、駐車場の精算機。世界中、さまざまな場所で、被害は拡大を続けている。
政府は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)、警視庁を通じ情報発信などを行うとともに、官邸危機管理センターに情報連絡室を設けるなどの対応を進めている。