マダニが媒介する感染症で、高齢者での死亡例も確認されている「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者が例年5月に多く発生することから、国立感染症研究所は2017年5月11日、マダニの生息場所や対策方法、忌避剤などについて解説したパンフレット「マダニ対策、今できること」を発表した。
死亡例も確認されているマダニ媒介感染症
「SFTS」は治療薬やワクチンが存在しない感染症で、2013年1月に国内で初めて感染例が確認されて以降、国内では50人近い死亡例が確認された。感染すると6日~2週間の潜伏期を経て、発熱や食欲低下、嘔吐、腹痛といった症状が起き、さらに頭痛、筋肉痛といった神経症状や皮下出血などの出血症状を起こすという。全患者の90%以上が50歳以上となっており高齢者が多い。
パンフレットではマダニは野山だけでなく民家の裏山や庭、畑などにも生息していると指摘し、マダニに咬まれる可能性のあるこうした場所に入るときは腕や足、首を露出しない服装にするよう呼びかけている。
また、2013年からマダニの忌避剤(虫よけ剤)が認可されており、服の上から「ディート」や「イカリジン」といった忌避剤を散布することで、より厳重な防護になるという。なお、ディートは有効成分の含有量によって6か月未満や12歳未満の子どもには使用が禁止されている。