輸入時は「検査済み」のシールが
そんな英国一番人気の品種が、日本では規制対象の品種だったということだ。「適法だと疑わずに農場で栽培し、苗にして販売していました。分かった時はまさかという気持ちでした」と担当者は話しており、同社としても思いもよらなかったようだ。
苗の形状などの特徴を見た来園客から5月7日に「違法の可能性がある」と指摘を受けた同社は、県に報告して調査を依頼。違法な「ケシ」だったと発覚した。37株が販売され、15日の時点で13株が未回収だという。同社担当者は「お客様にご迷惑をおかけし、大変申し訳ないと思っている」と話している。
一方、違法なケシが輸入できた経緯はよくわかっていない。一般に輸入物品は各種法規に違反していないかを確認し、必要な手続きを経た上で税関を通過する。日本貿易振興機構(JETRO)などのウェブサイトによると、ケシの実(種)は輸入に際し「あらかじめ熱処理等によって発芽不能の処理を施したもの」でなければならない。
同社発表文には、今回の種について「英国から直輸入し、日本で通関されたものです」との記述がある。同社担当者も取材に対し「輸入にあたっては日本の植物防疫所の検査を受け、検査済みのシールが貼られていた」と明かした。
J-CASTニュースが5月15日、厚生労働省の医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課の担当者に取材したところによると、「パパヴェル・ソムニフェルム・エル」は麻薬単一条約上の規制対象となっており、英国も日本もこれを批准しているが、実際の規制の内容や運用は条約を実効たらしめるための各国の法律に委ねられる部分がある。そのため、国によって扱いに差が出る場合があり、日本と英国とでは栽培や販売などの規制の在り方が異なっている可能性があるというが、詳しいことはわかっていない。
いずれにしても日本国内では違法なケシだったわけだが、長野県の担当者は「業者としては『違法なものは輸入時に止められるはず』という前提で輸入するだろう。どういう経緯で発芽可能な状態のまま輸入に至ったかははっきりと分からない」としている。そして「とにかく今はケシの拡散を防ぐため、早急に回収を進める」と話している。