国民生活センターは2017年5月11日、2012年から2017年2月末までの5年間で全国の消費生活センターに寄せられた脱毛施術による危害相談が964件に達していると発表した。
施術を受けた場所別に見ると、医療機関で受けた脱毛が284件だったのに対しエステで受けた脱毛によるものが680件と、大きく上回っている。
レーザー脱毛の効果は高いが...
同センターによると危害事例を施術の内容別に集計すると、エステでは「光脱毛」「レーザー脱毛」「電気脱毛」の順に多く、医療機関は「レーザー脱毛」が大部分を占めていた。レーザー脱毛は毛の発生源を破壊する施術で高い効果が得られる脱毛を受けることができる反面、皮膚内部の組織を破壊する行為でありやけどなどの皮膚トラブルが起きるおそれもある。また、レーザー機器を使用できるのは医師に限られるため、エステでは医療行為に該当しない範囲の施術しか行うことができない。
主な危害事例を見ると、エステでは「毛穴に針を刺して毛根を熱で死滅させる永久脱毛の施術を受けたら赤く腫れあがった」「光脱毛でやけどを負い、完治まで1年以上かかることもあると言われた」などが、医療機関では「美容外科でひざ下のレーザー脱毛を受けたらやけどのように腫れ、色素沈着が残った」「レーザー脱毛を受けたら蕁麻疹(じんましん)が出て、完治に半年かかると言われた」などで、どちらも皮膚障害ややけどが多い。
脱毛を受けてやけどなどの症状が生じた人のうち7割以上はリスクに関する説明を受けていなかったことから、同センターは自ら十分な情報収集を行うとともに、施術前にリスクに関する説明を求め、危害を受けた場合は速やかに医療機関を受診し、消費生活センターなどに相談するよう呼びかけている。