芸能人らの感染報告が相次ぎ、にわかに注目を集めているアニサキス症をめぐり、これにタイミングを合わせたかのようにシンクロして欧州から世界に向け、アニサキスに対し警戒を促す報告書が発表された。
それによると、ほとんどのケースは日本で報告されているが、欧米諸国などでも症例が増えている。海外で生や、あるいは生に近い魚介類を食べるときにも注意が必要だ。
英医師会系サイトで医師が症例報告
報告書は、ポルトガル・リスボンにあるエガス・モニス病院の消化器科に所属するジョアナ・カルモ医師らによる「アニサキス症:増え続ける胃痛の原因」。英医師会誌(BMJ)のウェブサイト版に付属する症例報告のページに2017年5月11日に投稿された。
同報告書では、32歳の例を紹介。それまでは健康だったが、入院する1週間前から胃上部のあたりに強い痛みを感じるようになり、同時に嘔吐は発熱に悩まされるようになった。男性の食事などについて聞いた病院側は内視鏡による検査を行い寄生虫を発見。その先端が胃を突き破っていることが分かった。
男性は症状があらわれる前にすしを食べたと述べていた。
カルモ医師は、同報告書をめぐり米CNNに「数十年前は、医師らはこの感染症について知らなかった」と述べている。「最近ではさまざま国でみられるようになっているが、生魚を食べる機会がしばしばある日本が主な国」
しかし、同医師によると、最初のケースは欧州で見つかったらしい。「アニサキス症の最初のヒトへの感染が専門家により最初に報告されたのは、1960代のオランダのケース。症状は患者が軽く塩漬けされたニシンを食べたあとにあらわれており、当初は『ニシンの寄生虫による病気』と名付けられていた」