【美と若さの新常識~カラダのヒミツ】NHKBSプレミアム2017年5月10日放送
内側からキレイに! デトックス力を上げろ
ルネッサンスを代表する芸術家ミケランジェロは「美」についてこんな言葉を残した。「美とは、余分なものを浄化することである」。キレイを追求する女性が行なっているデトックスも同じ。「カラダの中の本当に悪いものを出す」ということだが、勘違いしている女性が多いという。
デトックスのカギは、「体の下水管」と呼ばれ、毒素や老廃物をキレイに流してくれるリンパ管の流れをよくすることにある。女性外来のエキスパートがリンパ管に優しいマッサージ方法と食材を紹介する。
「半身浴にタップリの水」はデトックス効果なし
番組では、34歳のOLエリさんの1日をドラマ仕立てで追いながら、デトックスを考えた。「半身浴でたっぷり汗をかき、ゴクゴクと水を飲む」というもの。多くの女性が行なっている方法だが、これはほとんど効果がないという。腎臓の研究の第一人者、慶応義塾大学の伊藤裕教授がこう説明した。
「汗から出る毒素なんて、ごくごく少量です。大事なのは尿、オシッコです。しっかりとオシッコから悪いものを出さなければいけません」
ガッカリするエリさん。朝起きて鏡の前で化粧を始めるが、メイクのノリが悪い。むくんでいるからだ。お肌の大敵「むくみ」はどうして起こるのだろうか。これは、体内の毒素を流す下水管の役割を果たしているリンパ管のデトックス作用がうまく働かないからだ。美肌研究の最先端、資生堂ライフサイエンス研究センターの加治屋健太朗氏が、こう解説した。
「肌の表面のすぐ下(真皮)にはリンパ管がとおり、肌の中の毒(老廃物)を吸収し、血管に送っています。リンパ管は老廃物を取り込むために、壁が非常に薄くできています。そのため、若くて元気な間はいいですが、やがて老化や紫外線が原因で、リンパ管の壁にボロボロと穴がたくさん開くようになります。すると、老廃物を吸収するどころか、その穴からリンパ液や老廃物が真皮の中にもれ出てしまい、脂肪細胞に吸収されてどんどんたまります。その老廃物のふくらみが『むくみ』なのです」
ゲストのタレント、はるな愛が「ひええ~」と悲鳴をあげた。加治屋氏によると、最近の研究で、むくみは、お肌の2大大敵「しわ」と「たるみ」を同時につくることがわかった。決して甘く考えてはいけないという。まず、老廃物が皮下組織にたまり続けると、その重さで肌が下に下がる。これが「たるみ」だ。一方、白血球の一種マクロファージが体内をパトロールし、むくみの老廃物を食べて片付ける役目をしている。それはいいのだが、老廃物が多いとマクロファージが活発に動きすぎ、肌を形成しているコラーゲン組織をズタズタに壊してしまう。このため、マクロファージが通ったあとは、皮膚が陥没してしまう。これが「しわ」だ。