デフレの淵か? コンビニ、スーパー、値下げ続々 消費者心理5か月ぶり悪化

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   実感なき好景気なのか――。消費者心理が晴れない状況が続くなか、日用品の値下げが相次いでいる。

   振るわぬ消費。2017年3月の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は29万7942円で、物価変動の影響を除いた実質ベースで前年同月比1.3%減。これでマイナスは13か月連続だ。前月比(季節調整値)では実質2.0%の減少だった。

  • スーパーやコンビニ、相次ぐ値下げ
    スーパーやコンビニ、相次ぐ値下げ
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消費者の「節約志向」根強く

   消費が振るわない状況を表すデータはまだある。内閣府が2017年5月8日に発表した4月の消費動向調査によると、消費者心理を表す消費者態度指数(季節調整値)は前月から0.7ポイント下落して43.2となった。

   消費者態度指数は、消費者の「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目に分けて、今後半年間の見通しを5段階評価で聞いて指数化したもの。全員が「よくなる」と回答すれば100になる。

   4月は指数を構成する4つの要素のうち、電気やガスなどの値上げ幅が大きかったのが響き、「暮らし向き」が1.2ポイント下落。食用油などの食料品の値上がりも影響したとみられる。「耐久消費財の買い時判断」も1.6ポイント悪化。「収入の増え方」も0.8ポイント前月を下回った。前月を上回ったのは、「雇用環境」だけだった。

   ただ、前月を下回るのは5か月ぶり。内閣府も消費者心理の基調判断を、前月の「持ち直している」に据え置いた。

   一方、総務省が4月28日に発表した3月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が99.9となり、前年同月比0.2%上昇。3か月連続のプラスとなった。

   日用品などは値上げの傾向が続いている。エネルギー価格の値上がりが影響して、電力大手は4月の電気料金を値上げ。輸入小麦も値上げ(4.6%アップ)された。オリーブオイル、たばこ、タイヤ、生命保険も日本生命やかんぽ生命などが月払いの個人年金保険や学資保険といった貯蓄型保険の保険料を引き上げた。

   原料の牛乳の価格高騰を理由に、雪印メグミルクでは5月の出荷分から、バターやチーズを値上げ。大王製紙と王子ネピアの製紙大手も5月から、トイレットペーパーなどの家庭紙の値段を10%程度引き上げた。

   消費者の「節約志向」に変化が見られないなか、モノが値上がりすれば、売れ行きは鈍る。そんなこともあってか、小売業では「値下げ」を探る動きが活発化してきた。潮目が変わった可能性がある。

買うモノと買わないモノ、分けてやり繰り

   そうしたなか、勃発したのがコンビニエンスストアの値下げ競争だ。先手を打ったセブン‐イレブン・ジャパンは2017年4月19日から、ナショナルブランドの洗濯用洗剤やオーラルケア用品、掃除用品、紙製品などの61商品を平均で5%値下げした。

   たとえば、ライオンの歯磨き「デンタークリアMAX スペアミント」(140グラム)の価格を198円(税込み)から178円に、花王の「クリアクリーン ナチュラルミント」(130グラム)は214円から198円に値下げした。同社が日用品などの一斉値下げに踏み切ったのは8年ぶりのこと。

   これに、ローソンとファミリーマートが追いかけた。ローソンは5月8日、洗剤やシャンプーなど日用品を29品目、5%前後値下げ。ファミマも5月15日、洗剤やシャンプーなどの25品目の値段を5%程度下げる。

   スーパー大手では、イオンが4月17日から、傘下のスーパー400か店で、食品や日用品のプライベートブランド(PB、「トップバリュ」)とナショナルブランドなどを最大254品目値下げした。

   「トップバリュ」のキャノーラ油が23.3%値下げの213円(税込)、ナショナルブランドの柔軟剤(5品目)で11.4%、食器用洗剤(11品目)で8.1%値下げする。値下げ幅の平均は10%程度。値下げで販売をテコ入れする。

   ユニーも値下げを検討している、との情報もある。

   こうした値下げ競争に拍車がかかれば、遠のいたはずの「デフレ」の足音が再び近づいてきそう。ただ、第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト 藤代 宏一氏は、「『物価が持続的に下落する』という意味でのデフレではなくなっています」と話す。そう簡単にデフレに逆戻りはしないというのだ。

   「企業向けサービス価格指数(除く国際運輸)をみると、日本経済がデフレに突入した90年代後半以降、長らくマイナス圏で推移していましたが、直近はプラス圏を維持しています」と指摘。これがデフレ脱却を裏付ける有力なデータの一つとしている。

   「外食業なども値下げやキャンペーン価格での販売を展開していますが、これがすぐさま『低価格競争』になるとはいえませんし、伸び悩んではいますが、賃金が上昇していることを考えると、買うモノと買わないモノを分けてやり繰りしているようすがうかがえます」と、みている。

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