「失業」するより「再就職」の方が危険な理由は?
一方、仕事の変化と脳卒中リスクをみると、無職の経験のある人(継続して無職・失業したまま・再就職)は、無職の経験のない人(継続勤務)に比べ、男女ともに脳卒中などのリスクや死亡リスクが高かった。しかし、その度合いは男性の方が高く、男性では脳卒中リスクは約1.8倍(女性は約1.4倍)、死亡リスクにいたっては約3倍(女性は約2倍)だった。男性の方が、職がなくなることによる体へのダメージが大きいのだ。 さらに、意外なことがわかった。無職の経験の中でも「失業」より「再就職」の方が健康に悪影響を及ぼすのだ。男性の場合、継続勤務の人に比べ、「失業」の脳卒中リスクは約1.6倍(女性約1.5倍)だが、「再就職」は約3倍(女性約1.3倍)だった。死亡率にいたっては、「失業」は約2.2倍(女性約2.5倍)だが、「再就職」は約4.2倍(女性約1.3倍)に達した。
この結果について、研究班はこうコメントしている。
「失業の経験が脳卒中リスクを高めるのは、生活習慣の変化やストレスの増大が考えられます。欧米の研究では、再就職(転職)をすると、それ以前より健康的になると指摘されていますが、今回、逆の結果が示されました。この理由として、たとえば、再び得た職業を失わないよう無理をしたり、失業を恐れたりしてストレスがさらに増加することなどが考えられます」