中国が難色を示して頓挫
しかし、同日開かれた日中韓とASEANの会議では、日中韓とASEANが緊急時に多国間でドルを融通し合う協定「チェンマイ・イニシアチブ」の拡充が話し合われたものの、中国が難色を示して頓挫した。開催国・日本が議論をリードして成果を上げたい場面だったが、中国という巨大な国の同意がなければ、多国間協議が進まない現実があらわになった。
日中の財政当局者が協議する「日中財務対話」も総会に合わせて2年ぶりに開かれたが、2013年に終了した日中間の通貨交換協定の再開や、主要国で日本だけに認められていない人民元建ての株式や債券への投資枠など、金融分野の懸案に具体的な進展はなかった。投資枠の付与については、麻生財務相が以前から中国側に要請してきたが、いまだに色よい返事はない。日中関係が不安定な中、中国は秋に5年に一度の共産党大会を控えており、日本との関係強化といった「政治的な話」(麻生財務相)に踏み込むのは難しい状況だ。
アジアのインフラ整備では主導権を握りたい一方、中国との金融面での連携は深めたい日本。「一帯一路」構想や人民元の国際化に突き進む中国とどう付き合っていくのか、難しい戦略を迫られている。