ディスカウント店大手のドン・キホーテが東京・渋谷で移転・新装オープンした店舗に設置されたトイレが「LGBT(性的少数者)用トイレ」と一部で報じられ、波紋が広がっている。
渋谷区では、結婚相当とみなした同性カップルに対し、パートナーシップ証明書を2015年4月施行の条例に基づいて交付している。
実際の案内板は「ALL GENDER」
条例には、「区民および事業者はパートナーシップ証明に最大限配慮しなければならない」と明記されている。
ドン・キホーテでは、4月28日付ニュースリリースで、これまでの渋谷店を閉店して、道路向かいに新たに「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」をオープンし、店内には社会の多様性を考慮したというトイレを設置することを明らかにした。リリースでは、「お子さま連れやお身体の不自由なお客さまのほか、性的指向や性自認のいかんにかかわらず、どなたでもご利用いただけるトイレ」と説明している。
渋谷本店は、5月12日にオープンしたが、共同通信は前日付のウェブ版記事で、「ドンキがLGBT用トイレ 先進地・渋谷の旗艦店に」の見出しで報じた。記事では、店内のトイレについて、「同性愛や性同一性障害などの性的少数者(LGBT)用」と書いている。こうしたトイレを設置した理由については、ドン・キホーテが渋谷区のパートナーシップ証明書交付などに賛同したことを挙げた。
ただ、記事の最後には、個室3室を備えたこのトイレに「ALL GENDER」の案内板が掲げてあるとし、その写真も載せている。つまり、LGBTに限らず誰でも利用できるということだ。
とはいえ、見出しや冒頭で「LGBT用トイレ」とされたため、ネット上では、
「特化されたら余計入りにくくなる」
「ドンキのやってることと記事の書かれ方がいまいち一致しなくて混乱」
などと、当惑する声も上がっている。
「いい取り組み」「踏み絵」
ただ、実際の「ALL GENDER」の案内板についても、左右にある男女のトイレの間にあることもあって、
「踏み絵にしか見えないわ」
「これじゃ入れない」
「普通に多目的トイレじゃだめやったん?」
などと違和感を示す声もある。
もっとも、この試みについて、
「ドンキはLGBTに理解がある」
「いい取り組みだと思う」
といった賛同の意見も出ている。
「LGBT用トイレ」と報じたことについて、共同通信社は5月12日、「性的少数者(LGBT)が利用しやすいことを主な目的として開設したとの説明があり、記事化しました」とJ-CASTニュースの取材にコメントした。
ドンキホーテホールディングスの広報室では、共同の記事について、「本件に限らず個別の記事に対するコメントは差し控えさせて頂いております」と取材に答えた。また、トイレを「ALL GENDER」としたことについては、車イス対応の男女兼用多目的トイレも別に設置していることを理由に挙げた。渋谷本店のオープン初日には、このトイレを巡って混乱や苦情などは特になかったという。