2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費問題で、東京都の小池百合子知事が、すっかり「防戦モード」だ。小池氏は2017年5月9日に開かれた首都圏の9自治体トップの会議で、費用負担の分担について5月末までに結論を出すと表明した。だが、神奈川、埼玉、千葉の3知事が「それでは遅すぎる」とばかりに同日中に官邸を訪問して、安倍晋三首相に協力を求めた。
小池氏が安倍氏を訪れて仮設整備費の全額負担を表明したのはその2日後の5月11日。3知事の求めに応じた「官邸裁定」の結果だと受け止めた人も多かった。この会談日程は5月2日には決まっていたが、3知事との会談によって「急に私(小池氏)が駆け込んだようなイメージ操作が行われている」と反発。定例会見では「政局にされたい方がおられるとすれば、それは残念なこと」とも述べた。
丸川五輪担当相「安倍首相から指示いただいた」
費用負担の問題をめぐっては、小池氏は16年の段階では、17年3月までに決める方針を示していたが、結論は示されないままになっていた。そうした状況で迎えた5月9日の会議で小池氏が示した期限が「5月末」だったことに3知事は反発。その足で首相官邸に向かい、安倍氏に現状を訴えた。会談に同席した丸川珠代五輪担当相は、記者団に対して
「東京都の案を待つことなく、調整を私の方から東京都知事と組織委員会に対して行ってくださいという指示を(安倍首相から)いただいた」
と話し、「小池外し」とも取れる指示が安倍氏からあったことを明かした。
一方の小池氏は5月11日に安倍氏と会談し、東京都以外に新設される仮設施設整備費の約500億円を負担することを表明。こう見ていくと、知事3人の官邸訪問をきっかけに、結論が「5月末」から20日ほど早まったように見える。