NYT紙社説「大統領の失脚につながりうる活発な捜査を...」
だが、一連の問題が起きたのは、16年7~11月の出来事だ。クリントン氏の訴追見送りがトランプ氏の不興を買ったことで、17年1月の政権交代にともなうコミー氏の処遇が注目されたが、コミー氏は続投。にもかかわらず、就任から100日以上が経過してからの突然の解任劇となった。
それに加えて、任期途中のFBI長官の解任は、公用機を私用で利用するなどの職権乱用の疑いで1993年に当時のクリントン大統領が解任したケースに続いて、今回が2例目。きわめて異例の事態だ。
FBIは、ロシアがクリントン氏の陣営にサイバー攻撃を仕掛けてメールを流出させるなどして大統領選に影響を与え、その中でトランプ氏の陣営と連携していたとの疑惑を捜査している。この捜査が解任につながったとの見方も根強い。ニューヨーク・タイムズは5月10日、コニー氏が解任を通告される数日前、捜査のための検察官をはじめとする人員を増強するように司法省に求めていたと報じ、この依頼が解任の引き金になったとの見方を示唆した。社説では、
「コミー氏は、大統領の失脚につながりうる活発な捜査を主導していたため解任されたのだ」
と断じた。