ツヨシしっかりしなさい――2017年5月10日、20年以上前のアニメのタイトルが突如としてツイッターで話題となった。
「懐かしいなぁ。。毎回見てた気がする」「小学生ぐらいに見てた」「懐かしすぎる!」――Yahoo!リアルタイム検索のデータによれば、この2日間での言及ツイート数は6000を優に超える。突然として話題になった「ツヨシ」、皆さんは覚えているだろうか。
サンプラザ中野くんも反応
事の起こりは9日の夜、ツイッターで、あるユーザーがこんなつぶやきをしたことだった。
「『ツヨシしっかりしなさい』、間違いなくアニメを観ていた記憶はあるのだけど今に至るまでリアルの友人とツヨシしっかりしなさいの話をしたことも無いし話題になっていたこともないし原作読んでも何故これが2年間アニメになっていたのか解らないし、未だに集団幻覚の類と思ってる」
これが広がる中で、つぶやきに触れた人々が「家族で見てた記憶があるな」「さよなら文明のサビだけ覚えてる」「ほんとに普通に面白かったよ!内容覚えてないけど!」などなど、あやふやな記憶を探り始める。それがさらに拡散され、「なんでみんなツヨシしっかりしなさいの話をしているんだろう...?」といぶかる声も相次ぎ、ついには「ツヨシ」という単語が、ツイッターで多くつぶやかれた言葉を集計する「トレンド」欄に入るまでになった。
アニメ版のオープニング・エンディングを歌った「爆風スランプ」の「サンプラザ中野くん」さんも、ブログでこの話題を受けて楽曲採用の経緯を振り返り、「ぴったりハマっていたと思います今も」と懐かしむなど、反響は芸能界にまで広がる。
全盛期は視聴率20%以上、ドラゴンボール超えも
「ツヨシしっかりしなさい」は、永松潔さんが「モーニング」で連載した漫画を原作に、1992年~94年、フジテレビ系列で放映された。実は優秀なのに周囲から軽んじられる井川強(ツヨシ)を主人公に、彼を振り回す気の強い母と姉たち、そして周囲の人々の巻き起こす騒動を描くホームコメディーだ。国民的人気を誇った「ちびまる子ちゃん」の一時終了を受け、その後番組として制作された。
視聴率は10%台後半で終始推移、当時の日刊スポーツ(1994年12月20日付)によれば、終盤の94年12月には23.7%を記録した。これは同じ週の「ドラゴンボールZ」(20.5%)を超える数字だ。とても「集団幻覚」ではない。
劇場版映画や、スーパーファミコン向けのゲーム版まで作られ、あのTOKIOのデビュー曲「LOVE YOU ONLY」が、この番組のオープニング(3代目)だったという逸話も。放送終了直後には、フランスでの放映が決定したとの報道があり(毎日新聞、95年1月11日付夕刊)、なんとアラビア語吹き替え版の存在もネット上では確認できる。
ビデオ化などもされない幻の番組
これほどの人気を誇ったにもかかわらず、ツイッターでは上記にもあるように、「めちゃくちゃ見てたのに内容を一切思い出せない...」という声も目立つ。というのも、本作は劇場版を除き、ビデオなどのソフト化がされておらず、再放送などの機会にも恵まれていない。また、終了後には再び「ちびまる子ちゃん」が始まり、そのまま同じ時間枠で、現在まで20年以上続いている。こうしたことが、「ツヨシ」の影を薄くしていると見られる。
放送時、「制作・著作」としてクレジットされたフジテレビにも問い合わせてみたが、なにしろ昔の番組ということで、未ソフト化の理由や、海外進出の実態などもわからなかった。