豪社買収でコケた日本郵政 赤字転落は「当然の結果」

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ガバナンスの限界

   西室氏の華々しい経歴も、異論を差し挟みにくい雰囲気を生んだ。西室氏は東芝の社長、会長を務めた後、東京証券取引所のトップを任され、日本郵政に転じた「大物財界人」だ。社外取締役はそれぞれの立場で問題点を指摘することはあっても、最終的に西室氏の方針を容認した。ワンマン経営者が決めた路線を突き進むしかなかったところに、日本郵政のガバナンスの限界があったといえる。

   買収後の対応もまずかった。日本郵政によると、トール社はこれまで100件を超えるM&A(買収・合併)により成長してきた。規模はどんどん大きくなったが、買収先を独立したビジネスユニットとして管理。バックオフィス、オペレーションなどの統合も行わず、同じグループ内で顧客を奪い合う非効率な営業がまかり通っていたという。

   右肩上がりの時は良かったが、オーストラリア経済の減速により売り上げが減少傾向になると、こうした弱点が顕在化した。2017年1月にトール社の経営陣を刷新、今後1700人の人員削減を実施する予定だが、それまでは思い切った対策を講じなかった。トール買収は、相手企業をコントロールできなかった「悪い見本」として、日本企業のM&A史に刻まれることになりそうだ。

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