仮想通貨取引所「コインチェック」で、ビットコイン価格が一時約100万円と表示されていた。相場は20万円前後で推移していたため、約5倍にのぼる。だが、この件について同取引所の運営会社は「障害」が発生していたと発表。「障害発生時点」まで、取引履歴を含む全データを戻すことにした。
そのため、この間に利益を得たと思っていたユーザーらが激怒。「僕が利益出したんです」「納得できません」といった声が噴出した。
「96万円付けたらしい」
トラブルが起きたのは2017年5月9日。11時半ごろからツイッター上で「コインチェックどうなってんの」「とんでもなく跳ね上がってますね」「さすがにやばくないか?」と異常を伝える投稿が続出した。
ビットコインをはじめとした仮想通貨はコインチェックなどの「取引所」で売買される。レートはいずれの取引所でもほぼ同程度なことが多いが、取引所ごとにリアルタイムで変動している。1ビットコイン(BTC)はここ数日間20万円前後で推移していたが、9日には「瞬間96万円付けたらしい」などのツイートがあった。実際に、売買価格を見られるコインチェックのスマートフォンアプリで96万円台の値が付いた状態の画面をスクリーンショットし、投稿された画像も複数あった。
同取引所を運営するコインチェック社(本社・東京都渋谷区)は事態を把握し、企業サイトで「正常ではない価格が表示される障害が発生致しました」と発表するとともに「お客様に多大なご迷惑、並びにご心配をお掛けしましたことを、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。同時に、売買をはじめコインチェックのサービス利用を一時停止し、一切の取引ができない状態にしたことも報告した。また「正常ではない価格」で取引していた場合「取引前の状態へ戻す可能性があります」としていた。
追って同日中に出された発表によると、今回の障害は9日11時25分に発生し、直後にサービスを一時停止したという。障害は「ハッキング等で外部からの攻撃を受けたものではございません。ご利用者様の個人情報、並びに資産の流失はございません」としているが、原因の詳細は明かされていない。
だが、障害への対応をめぐって一波乱起きることになった。同社は「ロールバックの措置を執らせていただきます。障害発生時間、日本時間2017年5月9日(火)11時25分の時点へ戻す対応とさせていただきます」と発表。成立していた取引など「全てのアクションがロールバックの対象となり、11時25分の状態へ戻ります」と説明したのだ。
「障害の内容を明確にしない限り私たちは許せない」
100万円弱の値が表示されてからサービスが一時停止されるまでには若干タイムラグがあり、この間に取引したユーザーは少なくなかった。単純な例をあげれば、20万円で買っていた1BTCをこの時に100万円で売っていれば80万円の利益となる。実現すれば大儲け必至だったが、超高価格が表示され始めた11時25分から、サービスが再開された16時30分までの取引はすべて無かったことになった。
そのため、この間に取引して莫大な利益を得られたと思ったコインチェックのユーザーらは、こうした対応に不満爆発。障害の原因について詳細な説明がないことも手伝い、ツイッター上ではこんな声が続出した。
「謝ってすむ問題じゃねーだろ。カスが 利益返せや」
「色々と無かったことにしようとしてませんか? 障害の内容を明確にしない限り私たちは許せない」
「返して下さい。僕が利益出したんです」
「ロールバックは納得出来ないぞ」
「申し訳ないの言葉だけで済ますなよ」
一方、「コインチェックごたごたはあったけど、1日で対応できたので中の人は頑張ってくれていたようですね」「今回の騒動でかなり疲弊しただろうな...お疲れ様です」「こういう時に無駄に不安を煽るような発言をする人たちは、何が目的なの?」と、トラブル対応に追われたコインチェック社に同情する向きもあった。
コインチェックのビットコイン価格チャート(1時間単位)を見ると、9日12時台~15時台の4時間分がすっぽりと抜け落ちている。再開直後の16時台の価格変動もかなり大きく、障害の「爪痕」を感じさせる。
コインチェック社は翌日10日11時35分ごろには送金サービスも再開したが、トラブルの詳細はまだ明かされていない。同社はJ-CASTニュースの10日の取材に対し「詳細な原因や今後の対応につきまして、現在ご報告を行う準備を進めております」とだけ話した。公式サイトで発表するというが、発表日時は未定。