水草や水生昆虫に大きな影響
向井氏はまず、コイが生態系に与える影響について、池や湖でのケースを調べた研究はあるが、河川でどのような影響が出るかを調べた研究はないと説明。ただ、
「雑食で丈夫なコイの生態上、河川の生態系にも影響が出ることは確実でしょう。本来はもっと多様な生物が居た場所でも、コイ放流のために『コイとの共生に耐えられる生物』しか残らないという状態になってしまう可能性は十分に考えられます」
とも話した。また、先述したブログが指摘していた「コイが他の魚の卵を食べてしまう可能性」についても、向井氏は「おそらく影響はあると思います」とした。
ただ、向井氏は過去に岐阜県内の池でコイが生態系に与える影響を調べた経験があるとして、
「正直、コイが他の在来魚に与える影響はそこまで大きくないと感じました。ブラックバスのように、他の小型魚を食べることはしませんから。ですが、水草や水生昆虫、貝には確かな影響がありました。コイの有無で、こうした生物の種数に差が出ていましたから」
とも説明していた。
なお、向井氏によれば、コイの放流を「制限」する規則を設けている自治体はあるが、放流を完全に「禁止」しているところはないという。