「政府系ファンドによる救済」批判の可能性
一方で、政府系ファンドによる東芝のメモリー事業買収は「救済」という批判を受けかねない。そこで政府が目指すのが、主体となる日本企業の参加なのだが、現段階では思うようには進んでいない。富士通の田中達也社長が4月28日の決算発表会見で「ユーザーとしての立場や、日本の産業競争力の維持などから考えるべきことはある」と述べ、出資の可能性に含みを持たせたのが目立つ程度。他の大手企業の多くは「株主への説明がつかない」(大手企業首脳)などと否定的な立場とされ、どれぐらいの企業の参加が見込めるかは不確定だ。
仮に主体となる日本企業が現れない場合でも、日米連合は5月19日に締め切られる2次入札に参加する見込み。鴻海が3兆円を提示する中、「2兆円以下では説明がつかない」として、日米連合は2兆円以上での応札を目指しているとされる。日本の半導体メモリー技術を守るために、立ち上がる企業は現れるのだろうか。