大相撲夏場所直前になって、先場所で負傷した横綱・稀勢の里(30)の体調をめぐり周囲の評価が真っ二つに割れている。
稽古を見た元横綱・北の富士氏(75)は「万全には遠い」と見た一方、二所ノ関親方(元大関・若島津、60)は「8割以上いい」と真逆の評価だ。
北の富士氏「どうしてもダメなら休む手もある」
稀勢の里は2017年5月8日、二所ノ関一門の連合稽古に臨んだ。3月場所で負った左大胸筋損傷などの影響で4月の春巡業を全休し、5月2日にようやく三段目力士と相撲を取り始めた。3日の稽古総見も欠席していた。
連合稽古では、十両・琴恵光(25)と8番取って全勝し、関脇経験者の前頭6枚目・豪風(37)には6勝2敗と、決して悪くない数字だ。しかし9日付の日刊スポーツによると、間近で稽古を視察した北の富士氏は「万全には遠い。あと3日間でどれだけ自信を持てるか。どうしても(ダメ)なら休む手もある」と浮かない顔をしながら休場の可能性を指摘した。稀勢の里は負傷した左肩付近をテーピングでがっちり固めており、関脇・高安(27)をはじめとした三役力士4人とは相撲を取らなかった。
一方で、二所ノ関親方は前向きだ。日刊スポーツの報道では「8割以上いいんじゃないか。だいぶ回復していると思う。筋肉が落ちていない」と評価した。稀勢の里が得意とする左四つに関しても、北の富士氏が「左を使っていない」と話したのに対し、二所ノ関親方は「左から当たっていったから大丈夫だと思った」と評価は異なる。
父親・貞彦さん「ちょっと重すぎなんですよ」
9日放送の「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)では稀勢の里の父親・貞彦さんに取材している。夏場所への「一番の課題」として「体重」をあげ、「ちょっと重すぎなんですよ。184キログラムまでいっていますけど、かなり重いですよね。食欲をいかに制限するかが難しい」と指摘。さらには「今回のけがの一因も体の重さにありますよ」と、体作りを不安視した。
稀勢の里の体重は3月場所時点では175キロだったが、5月2日の体重測定で184キロと9キロ増加している。
だが、元NHKアナウンサーとして長く大相撲実況を務めた杉山邦博氏(86)は同番組で「(けがの後も)毎日土俵に下りて四股を踏み、すり足をし、稽古をやってきた。食事制限も考えて毎日やった。体は万全で作っていると思う」と肯定的な見方をしている。
大相撲力士にとって体重はどれくらいが良いとは一概に言えないが、現在前頭9枚目の逸ノ城がかつてダイエットをしたことがある。16年11月の九州場所を前に、最大214.7キロ(193センチ)あった体重を185キロにまで減らした。
万全か万全でないか。夏場所は14日から始まる。