「訴訟をしているという外部に向けたアピール」
別の市役所担当者によれば、訴訟直前から訴訟費用の寄付を募っている。17年3月末までに約5600万円が集まっているが近年は寄付のペースが鈍っていて16年度は約90万円にとどまった。そこで工藤壽樹市長のアイディアがあり、「ふるさと納税」で寄付金を募ることになったという。
「訴訟費用が足りないということも言われていますがそれは違っていて、目的は工事差し止め訴訟をしているという外部に向けたアピールであり、それによって国に議論の土俵に上がってもらうという取り組みなんです」
と担当者は明かした。
福島原発事故以降、国は事故の際に危険となる地域をこれまでの8~10キロから30キロに変更した。函館市は大間原発から最短23キロの位置にあり、危険地域に含まれたわけだが、同意を得るどころか市や道南地域への説明もないままに建設が再開されたという。さらに地域防災計画や避難計画を定めることを義務づけた。こうしたことは整合性を欠いているとし、12年から道南の自治体や議会、経済界などが名を連ね建設の無期限凍結を求めるなど度々抗議をしてきたものの、国はそれを無視続けてきた。そのため最終手段としての訴訟を起こし闘っている。
「まずは建設に対する『同意権』を獲得すること。これがスタート時点となり、得られた後に議会、市民に判断して頂く。そうした流れで進めて行く計画になっています」
と担当者は語った。