欧米の国々で、新ダイエット法として注目されている「1日おき断食」について、その提唱者らが米国で数年をかけて行った「実証実験」の結果がこのほど、米医師会誌で報告された。
同方法による減量は「臨床的に意義ある成果」が期待できることは分かったが、1年の実験期間を終えずに脱落する被験者の割合が高いなど、肥満問題の対策としては改良が必要なことも明らかになった。
よりつらそうな「毎日カロリー制限」上回る脱落率
「1日おき断食」は5年ほど前から欧米で注目されるようになり、日本でも昨年夏ごろからネットで経験談などがみられるようになっていた。
報告を行ったのは、肥満問題に取り組んでいる米イリノイ大学シカゴ校のクリスタ・バラディー教授(栄養学)。米医師会誌のウェブサイト版「JAMA Internal Medicine(インターナルメディスン)」で2017年5月1日に公開された。バラディー教授は著書「THE EVERY OTHER DAY DIET(1日おきのダイエット)」でも知られる。
実験は11年10月~15年1月の間に、シカゴに住む18~64歳の肥満者(平均BMI34)100人(女性86人、男性14人)をダイエット別に3グループのいずれかに振り分け、1年間にわたりモニターした。
3グループは「1日おき断食」「毎日カロリー制限」「条件なし」。
「1日おき断食」は、2日に1日は、食事の量を米保健福祉省(HHS)と農務省(USDA)による「米国人のための食生活ガイドライン」の「1日の推奨カロリー」の25%以下にとどめ、もう1日は推奨カロリーの125%を上限に摂取オーケーというもの。
「1日の推奨カロリー」は成人男性で2000~3000カロリー、同女性1600~2400カロリー。個人の活動レベルにより幅がある。
「毎日カロリー制限」は、1日の摂取カロリーを「推奨」の75%に抑えた食事。
実験を始めてから最初の3か月は、被験者に食事が提供されたが、その後の9か月は被験者が自ら用意した。
報告によると、「1日おき断食」では1年後、6.0%減量、 「毎日カロリー制限」では5.3%減った。バラディー教授は「どちらも臨床的には意義ある成果の減量が可能なことを示した」と述べている。
「アドヒアランスが欠けている」
学問的には意義はあったが、米国では相変わらず深刻な社会問題である「肥満」対策への応用にはまだまだのよう。報告の「結論」では「『1日おき断食』は『毎日カロリー制限』に比べ、すぐれたアドヒアランス(患者に治療への積極的な参加意欲を持たせること)が欠けている」と嘆いてみせた。というのも、断食ではルールを守れない被験者や脱落する被験者が続出したのだ。
報告によると「ドロップアウト率」は「1日おき断食」で38%。この数字について、報告の共著者である、米ルイジアナ州立大学生物医学センターのエリック・ラブシン教授は、米CNNのウェブサイトの記事で「研究の主要評価項目が減量であるにしても、追究しているのは肥満者らにダイエットを持続させる方法。1日おきに行うなどの断食は容易に取り組め、成果があがる方法だと考えていたが、このドロップアウト率は警戒レベルだ」と述べている。
「毎日カロリー制限」の場合は、文字通り毎日カロリーの計算をしなければならないので、その分、「1日おき断食」の方が持続性があるとみていたという。「毎日カロリー制限」のドロップアウト率は29%だった。
バラディー教授は「1日おき断食」、ダイエットを毎日実施しながら間に休みがあるので容易だと思っていたという。「『毎日カロリー制限』の方がゴールに向かって粘りがあり『1日おき断食』にはぶれがあるのを目の当たりにし少々驚いた」
研究では、実験期間の後半9か月を自己管理に任せたが、このためにチェック機能がなくドロップアウト率を高めたとの指摘も出されている。