日本に黄砂が飛来する季節到来 PM2.5が付着して人体に悪影響

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   例年春から初夏にかけて、中国大陸から飛んでくる黄砂。気象庁はゴールデンウィーク終盤の2017年5月6~7日と2日連続で、西日本から北日本の広い範囲で黄砂に関する観測情報を出した。

   黄砂の影響は、視界が悪くなり車の運転がしにくくなる、洗濯物が汚れる、だけではない。大気汚染物質を運んできて健康被害をもたらす恐れもある。

  • 日本でも一部地域で空がかすんだ(写真はイメージ)
    日本でも一部地域で空がかすんだ(写真はイメージ)
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アレルギー疾患や呼吸器疾患に注意

   環境省黄砂飛来情報「ライダー」のウェブサイトで、全国の観測ポイントにおける5月6日以降の黄砂飛来量データを調べてみた。観測量が1立方メートルあたり0.1~0.3ミリグラムなら「少ない~やや少ない」との判定で、「やや空気がかすんだようにみえることもあります」。同0.3~1ミリグラムだと「多い」で、「洗濯物や車に汚れが目立つこともあります」という。同1ミリグラムを超えると「非常に多い」で、交通機関の運行に支障をきたす恐れが出てくる。

   5月6日は、長崎県五島市の福江島や島根県松江市で正午前に同0.2ミリグラムを超えた。7日未明に長崎市、明け方に富山市と仙台市で同0.2ミリグラムを突破し、大阪市でも午前中に同0.2ミリグラムに迫った。8日も富山市、大阪市で同0.2ミリグラム前後に達した。距離的に中国に近い九州だけでなく、山陰や北陸といった日本海側や、仙台も他の地域と比べて高い数値になっている。

   いずれも「多い」レベルはいかなかったが、今の時期は警戒を続けた方がよい。NHK「そなえる防災」のウェブサイトで、国立病院機構福岡病院アレルギー科医長・岸川禮子氏が、黄砂による人体への悪影響の恐れを指摘している。特に問題なのが、微小粒子状物質(PM2.5)だ。「PM2.5が付着して汚染された黄砂が運ばれてきて、アレルギー疾患や呼吸器疾患をもたらすなどの健康への悪影響が危惧されています(2013年9月11日付)」という。

   また同年10月1日付記事で岸川氏は、富山県で2005~09年の5年間調査した結果から、強い黄砂が飛来した日はぜんそく発作入院の危険因子となることが統計学的に証明されたと説明。特に6~12歳の男児が、黄砂飛来直後から影響を受けやすいと報告されたという。鳥取市では07年4~5月に98人の成人ぜんそく患者に電話調査をしたところ、4月には98人中22人、5月は同11人が、「黄砂飛来時に呼吸器の症状が悪化した」との回答だった。

   PM2.5と黄砂が人体に及ぼす影響として、「飛来時には軽い呼吸器症状が出現するものの、過ぎ去ったら改善しているのが分かります。しかし、反応には個人差があり、影響を強く感じて困っている人がいるのも事実です」と解説した。

「源流」北京のPM2.5濃度はまだ高い

   日本国内でPM2.5の濃度が最も高くなるのは、3~5月だ。「政府広報オンライン」に掲載されている、2012年度の「微小粒子状物質の月平均値の推移」を見ると、3月が1立方メートルあたり20マイクログラムを超えており年間を通して最も値が高く、5月がこれに続く。

   しかも、PM2.5の「源流」となっている中国の数値は、5月に入っても高い日が多い。環境省が提供する「PM2.5モニタリングデータ(海外)」で調べると、北京の今月の1日平均値は、5月1日に1立方メートルあたり47.8マイクログラム、3日は同50.6マイクログラム、4日になると同405.3マイクログラムと極端に跳ね上がった。日本では、環境基本法に基づくPM2.5の環境基準は、1日平均値が同35マイクログラムだから、「405.3」という数字の突出ぶりが分かる。

   PM2.5のような微細な大気汚染物質が、黄砂にくっついて日本まで飛んでくるわけだ。「黄砂注意」の気象予報が出たり、「今日はモヤがかかっているな」と感じたりしたら、特に呼吸器に不安がある人は外出時にマスクを着ける、うがいや手洗いを徹底するといった対策を取って損はない。

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