岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち 
金正恩への「アメとムチ」めぐり揺れる評価

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「これまでの政権とは違うやり方を支持する」

   トランプ大統領が金委員長を「切れ者」と語ったことについて、「脈絡から理解すべき。金氏を褒め称えたわけではない」とトランプ支持者は反論する。

   会談について「光栄」という言葉を使ったことに対しては、「対立する相手に敬意を表して会談に臨む。それが外交というものだ。トランプ氏こそ、立派な交渉人だ」と擁護する声がある。

   その一方で、「政治の素人だから、そんな発言をするのだ。会談が実現したとしても、交渉は政治素人のトランプではなく、国務省がするべき。金氏を非難していたかと思えば、一転して褒め称える。次は何を言い出すか、し出すか、予測できないので不安だ」と懸念する声もある。

   トランプ大統領が金委員長に対して、会談の可能性とともに、軍事力行使も辞さない姿勢を示す「carrot and stick diplomacy(ニンジンと棒=アメとムチ=の政策)」を、高く評価する人も少なくない。

   トランプ大統領を「人として軽蔑している」と語る50代の男性も、「北朝鮮については、これまでの政権とは違うトランプのやり方を支持する」と話す。

   トランプ流のアメとムチは、「ビジネスマン大統領」の政治家の枠にとらわれない奇策なのか。北朝鮮問題は進展を見せるのか。彼の一言一句に、アメリカはまた、揺れている。(随時掲載)


++ 岡田光世プロフィール
岡田光世(おかだ みつよ) 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社 のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓 を描いている。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1 弾から累計35万部を超え、2016年12月にシリーズ第7弾となる「ニューヨークの魔法 の約束」を出版した。著書はほかに「アメリカの 家族」「ニューヨーク日本人教育 事情」(ともに岩波新書)などがある。


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