好調サイゼリヤを支える 「客単価に勢い」呼ぶ戦略

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

   イタリアン・レストランチェーン「サイゼリヤ」を展開するサイゼリヤの株価が堅調だ。2017年4月25、26両日の取引時間中の最高値3215円は、ともに今年の最高値でもあった。4月の段階で今年最高値というと、さほどのことではないようにも聞こえるが、過去10年を振り返っても最高値だ。

   サイゼリヤは4月12日に17年8月期の連結業績予想を上方修正し、独特の低価格戦略が多くの消費者に支持されていることを証明した。株式市場が「デフレ銘柄」サイゼリヤの成長力に期待していることが株価を押し上げている。

  • サイゼリヤの「タラコソース シシリー風」(Wikimedia Commonsより)
    サイゼリヤの「タラコソース シシリー風」(Wikimedia Commonsより)
  • サイゼリヤの「タラコソース シシリー風」(Wikimedia Commonsより)

中国出店数は300超

   サイゼリヤは4月12日の修正業績予想の発表で、2017年8月期の連結純利益を前期比36.2%増の75億円とした。従来予想は57億円で、18億円の上方修正だ。中国の税制改正でこれまでより税負担が軽くなる見通しが立ったという事情もある。サイゼリヤの中国出店数は300を超え、約1000の日本国内店舗数の3割に達する重要事業に成長しているから、業績への影響は大きい。ただ、当然ながら足元の日本での業績が快調なことも見通しの変更を促している。

   この上方修正の直前に発表された3月の既存店売上高は前年同期比4.5%増。サイゼリヤ決算の「上半期」にあたる2016年9月~17年2月の既存店売上高は前年同期比2.9%増で、「上半期」の6か月の月次統計で一度も前年割れはない。5月2日に発表された直近4月の既存店売上高も前年同期比3.6%増となり、引き続き好調を維持していることを裏付けた。

「200円を下回るデザートへの消費者の反応がいい」

   4月12日に業績予想と同時に発表した2017年2月期連結中間決算は、売上高こそ前年同期比0.3%減の705億円だったが、営業利益は44.2%増の46億円、純利益は59.9%増の31億円と大幅な増益を記録した。

   サイゼリヤといえば、看板メニューの「ミラノ風ドリア(税込み299円)」のように、イタリアンレストランと言うには格安な税込み300~500円程度の商品が最大の売りだ。堀埜一成社長は4月12日、記者会見で「200円を下回るデザートへの消費者の反応がいい」と強調した。このデザートは1つの例だが、比較的安いメニューを客が複数注文して食事する傾向が高まり、客単価が上がっているのは事実だ。既存店の客単価は2017年2月までの半年間で、前年同期比1.2%増えた。前年同期がその前に比べて0.6%増だったことを見ても、客単価の面で勢いがついているのは間違いない。こうした勢いを見て、みずほ証券が目標株価を3300円から3600円に引き上げるような動きも出ており、市場の評価が高まっている。

姉妹サイト