「これは美しい」「良すぎる」。秋田県が観光プロモーション用に掲示しているポスターの数々がツイッター上で好評だ。
県の観光地や名物を写真に収めているが、ことごとく一緒に「秋田犬」が写っている。県の観光振興課担当者はJ-CASTニュースの取材に「キラーコンテンツの秋田犬によるPRを進めています」と話す。
なまはげ10数体の中央に秋田犬
秋田県のポスターが話題を集めたのは2017年4月29日のツイートだ。あるユーザーが「(東京の)新宿駅構内に貼ってある秋田県のポスター、良すぎる」と3種類の写真を投稿。男鹿市のなまはげ、羽後町の西音内(にしもない)盆踊り、大館市のきりたんぽ鍋と、食文化や伝統芸能を1枚につき1種類紹介している。デザインされているのはその名物の写真以外には、「JAPAN AKITA Oga City Namahage」「秋田県 男鹿市 なまはげ」という文言だけ。背景はいずれも白く、デザインはかなりシンプルだ。ツイートには「これは美しいな。素晴らしい」「すごいセンス良いですね」「こういうポスターはいいね」と反響が集まっていた。
際立つのが、いずれのポスター写真にも「秋田犬」が写っている点だ。その癒やされる風貌のせいか、なまはげ10数体が並んだ写真でも、中央に舌を出した秋田犬がちょこんと佇んでいることで、どこか雰囲気をソフトに中和してくれている。
ポスターシリーズの報告は3月下旬からツイッター上で相次ぐようになり、
「心惹かれる風景の数々に可愛らしい秋田犬、最高」
「秋田犬可愛い」
「秋田キャンペーンポスターの秋田犬がかわいい。朝見るたびニヘっとなっている」
と秋田犬効果もあいまって徐々に認知度が上がっていた。
J-CASTニュースが5月1日に秋田県観光振興課にポスター掲出の経緯について取材したところ、担当者は「もともと大館市が秋田犬に注目してPRをしており、県としてもキラーコンテンツである秋田犬の活用を考えはじめました。そこで『秋田犬の里』としてアピールしていこうと、観光資源と合わせて打ち出したのがきっかけです」と話す。
プーチン大統領と秋田犬
「秋田犬の認知度は高いです。東京・渋谷駅の忠犬ハチ公も秋田犬ですよね。プーチン大統領の件もありますし」と担当者は言う。東日本大震災復興支援のお礼として2012年、秋田県の佐竹敬久知事がロシアのプーチン大統領に秋田犬「ゆめ」を贈っており、16年12月にはプーチン氏とゆめが戯れる様子を収めた写真が報道されたことでも、国内外で話題を集めていた。
シンプルなデザインは「まずは県の認知度向上を、という狙いのポスターですので、印象強くするのを最優先にしました。首都圏からの観光客だけでなく、インバウンド需要の取り込みも狙っていますので、説明は抜きにして最低限の地名、名物の名前と、写真だけにしました」と意図を明かす。観光PRといえば「ゆるキャラ」や「萌えキャラ」を採用する自治体が増えている中、「伝統的にあるものを実写することにこだわりました。それが他にはない雰囲気を出して、反響をいただけている1つの理由かもしれません」と話す。
2016年11月から首都圏の電車の中吊り広告でPR用ポスターを掲出し始めた。予想以上の反響があったため、リサイズして駅構内でも貼り出すことが決まり、17年3月下旬から4月初旬あたりに掲出が開始。新宿駅、蒲田駅、浦和駅、成田空港駅などにもあるという。「ここ数日でネット上でも話題になっており、ポスターの効果が出始めたかなと思います」と担当者は手応えを感じている。
中吊り広告で使っていたポスターデザインは全15種類あったが、構内に掲出したのは11種類。担当者は「残りの4種類は秋田犬が写真に写っていないので」と話しており、「秋田犬フィーチャー」は徹底している。また、好評を受けて17年5月下旬あたりから、「第2弾」の5種類の新デザインを、同様に交通広告で順次露出していく予定だという。