「帝王切開は常にリスクと利点をともなう」
実は、同じような調査報告を英エジンバラ大学の研究チームが米医師会誌「JAMA」(電子版)の2015年12月2日号に発表している。その論文要旨によると、1993~2007年の間に生まれた32万1287人の子どもを、分娩方法の違いに応じて幼少時の健康状態を調べた。分娩方法は「自然分娩」と「予定帝王切開」だけを比較した。その結果、「予定帝王切開」の子どもは「自然分娩」の子どもに比べ、小児ぜんそくになるリスクが22%高かった。その理由について研究者は説明していないが、「ぜんそくになるリスクは非常に高いとはいえず、医学的に帝王切開が必要なら、自然分娩ではなく帝王切開を選ぶべきだ」とコメントした。
しかし、帝王切開を選ぶ女性にはショックな結果である。論文に付いた専門家のレビュー(意見)をみると、この結果について批判的な人が多かった。
「帝王切開にぜんそく発症の原因があるかのような表現はさけるべきだ。重要なのは、帝王切開は常にリスク(危険)とベネフィット(利点)を考えるべきだということだ」
「研究方法に疑問がある。帝王切開の女性は、自然分娩の女性より一般に肥満度が高い。肥満の女性から生まれた子は喘息のリスクが高い。その点を考慮していない。また、帝王切開をせざるをえない母体の事情について、考慮されていないようだ。母体と胎児に最初からぜんそくに関係する要素があったかもしれない」
また、こんな意見もあった。
「もし、帝王切開とぜんそくに因果関係があるなら、妊婦は気にすべきだろうか? リスクがあったとしても高くない。気に留めておく程度でいいのではないか」