株売却を中止、今後の展望は...
メニューについても新商品を従来の2倍のペースで投入するなど、攻めの姿勢を貫いた。コンビニとの競争関係にあるコーヒーは2017年1月にリニューアルした。昨年夏に投入されたスマホゲーム「ポケモンGO」との協業など話題作りも怠らなかった。
カサノバ社長は「満足していない。2017年は成長の段階に入る」として改革の手を緩めていない。改装は2017年もより大規模に続けており、同年末には全店の8割で改装を終える予定だ。新メニューにも力を入れており、8年ぶりの大型バーガーの新商品で「肉厚」にこだわったという「グラン」シリーズを4月に発売した。通常のハンバーガーに比べて1.7倍の「肉厚」で、主力の「グランクラブハウス」の価格(単品)は税込み490円とやや強気の設定だ。2016年試験的に投入した「1.7倍肉厚」バーガーの消費者の反応が良かったといい、日本マクドナルドHDは「高くてもおいしいものを食べたい需要がある」としている。
米マクドナルドの「株売却中止」には業績改善もさることながら、日本マクドナルドHDの株価が上昇していることも影響したようだ。2016年1月の売却方針公表後から株価は上昇基調にあり、同年夏にはポケモンGO効果もあって過去10年で最も高い水準(3875円)に。その後やや落ち着いたとはいえ、2017年4月20日には年初来高値の3450円を記録。2016年1月の2500円前後からは3割以上高いゾーンにある。買う側にすれば売却予定は33%と経営権を握れるわけではないこともあり、株価が高くなって売りにくくなったという事情もあったとみられる。
ただ、今回はあくまで「売却中止」であり、売却を完全に取り下げたわけではない。米マクドナルドは世界的にリストラを継続しており、今後の業績や株価次第では「日本」の売却計画が再び頭をもたげる可能性も否定できない。