さらなる量的緩和が必要との認識示す
これに対し、片岡氏はレポートや報道機関へのコメントで、日銀が国債の買い入れを縮小することを懸念し、さらなる量的緩和が必要との認識を示していた。リフレ派らしく、あくまで「量」にこだわる片岡氏が、審議委員就任後に日銀の「軌道修正」に異を唱えれば、「オール与党」になったはずの政策委員会に不協和音が生じる可能性もありそうだ。
一方、もう一人の鈴木氏は債券など市場部門のスペシャリスト。日銀の大規模緩和やマイナス金利政策は金融市場や金融機関の経営に大きな影響を及ぼすだけに「市場を熟知した審議委員の存在は心強い」(金融関係者)との期待は強い。金融政策に対するスタンスは明らかでないものの、金融機関を運用難に陥れたマイナス金利政策には慎重な立場とみられる。
黒田総裁の任期もあと1年を切る中、今回の交代により、6人の審議委員全員が安倍政権のもとで選ばれたことになる。黒田総裁の就任当初は「黒田バズーカ」ともてはやされた大規模緩和の威光も既に色あせており、政策委員会もいっそう難しい判断を迫られそうだ。