腸内細菌の未知のメカニズが人間にも影響?
このことから研究チームは、「ハエの腸内細菌が、このエサは適切かどうかを判断し、ハエの脳に指令を送って食欲を抑制することで、ハエが好ましくない栄養状態と向き合っている」と考えた。それにしても、腸内細菌は、どうやってハエの脳に「このエサを食べるな」「これは食べてよい」と指令を出すのだろうか。研究リーダーのパトリシア・フランシスコ博士は、プレスリリースの中でこう語っている。
「人間には数百から約1000種もの腸内細菌がいますが、ハエは約5種類です。単純な動物モデルを使って、腸内細菌が食べ物の嗜好に与える影響を調べることができました。私たちは最初、腸内細菌自体にハエに必要な必須アミノ酸が欠けているため、ハエの食欲が進まないのだろうと仮説を立てました。しかし、それは間違っていました。細菌のタンパク質成分と必須アミノ酸は関係ありませんでした。まだ、メカニズはわかりませんが、脳に必須アミノ酸が足りない状態の時に、細菌が何か代謝変化を誘発させ、ハエが食べたいものを変えさせていると考えられます。この未知のメカニズから、人間の体にも重要な洞察を得られると思っています」