電力大手、減収相次ぐ それでも新電力の影響は「軽微」

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太陽光事業者の倒産が過去最多

   2011年3月の東日本大震災と東京電力・福島第一原子力発電所の事故、それに伴う電力大手の原発停止を契機に一気に高まった太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーへの期待感。その一方で、原発停止と燃料費のコストアップで経営不振に陥った電力大手が提供する電気料金の高騰で、新電力は「価格競争に勝てる」と判断。参入が相次いだ。

   ところが、原発事故から6年が過ぎ、一部の原発は稼働を開始。電力大手の経営、また電気料金も落ち着いてきた。さらに、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づく買い取り価格の引き下げが度重なったことで、新電力の経営環境も悪化してきた。

   多くの新電力が参入したものの、ほとんどの新電力は自らの発電設備を持っておらず、発電設備がある企業や電力卸売市場から電力を購入することで販売電力をまかなっているのが現状。価格競争が激しくなれば、詰まるところは体力勝負になり、資本力の強い大手に集約される。

   思うように電気料金が下げられず、下げれば経営が圧迫する。切り替えメリットも薄れて、利用者も増えない悪循環に陥りつつある。

   ある証券アナリストは、「電気料金が安いといっても、セット販売で『わかりづらい』との指摘があり、それがクレームにもなっていました。ブームが去って、(利用者が)冷静に判断しているといえます」と話す。

   東京商工リサーチの「2016年度 太陽光関連事業者の倒産状況」(2017年4月6日発表)によると、2016年度の倒産は68件に達し、過去最高を更新した。これまで最多だった15年度の61件を7件上回った。

   負債総額は146億4100万円で半減したが、2015年度は新電力の日本ロジテック(東京都)が約120億円の負債を抱えて倒産した、大型倒産があったため。16年度は小規模業者の経営悪化が浮き彫りになった格好だ。

   原因別でみると、「販売不振」が最多の36件と全体の半数を占めた。なかでも、「運転資金の欠乏」が前年の4件から11件に突出。同社は、売上高の急拡大から一気に受注減に陥って資金繰りに窮したケースや、業容拡大を見越した過剰在庫で収支バランスが崩れて資金繰りが破たんしたケースが多いとみている。

   2016年4月から、電力会社との接続契約が未締結の認定は失効。また、事業用太陽光発電の買い取りは入札への移行が予定されるなど、太陽光発電への優遇策は大幅に縮小した。震災後のブームに乗って、安易に参入した太陽光発電の事業者を中心に、今後も淘汰が進む可能性が高まっている。

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