シンガポール国立大学のニメシャ・ラナシンハ教授らの研究チームが、味覚を刺激する電極とセンサーを組み合わせることで水をレモネード風に感じさせる「仮想レモネード」を開発したと、2017年4月25日付のロイター通信が伝えた。
カロリーや糖分の摂取制限、虫歯を気にしている人が加糖飲料の代替品として利用することを想定しているという。
本物の味わい深さには届かないが
3月24日に発表された同大のニュースリリースによると、仮想レモネードは、味覚を微弱な電気で刺激する電極を飲み口に埋め込んだ特殊なタンブラーに入れた水を飲むというもの。タンブラーにはLED(発光ダイオード)ライトも取り付けられており、レモネードの色も再現することができる。あらかじめセンサーでレモネードのpH(水素イオン濃度。大きければアルカリ、小さければ酸性)と色を計測し、そのデータをタンブラー側に送ることで、電極とLEDが味と色を再現するという。
13人の被験者を対象に試飲を行ったところ、全員が「レモネード風に感じ取れた」としたものの、本物のレモネードの味わい深さには届かないと報告されている。また、現在の仮想レモネードは匂いの再現はできておらず、ラナシンハ教授は「現在香りのシミュレートにも取り組んでおり、すべての香り、味、色を網羅した『バーチャルカクテル』の開発を進めている」とコメントしている。