日本が目論む「時間稼ぎ戦略」 対トランプ通商で奏功するか

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米側の承認人事が具体的に動き出せば...

   また、日米経済対話はかつて20世紀後半に「日米貿易摩擦」を解消する舞台として米側が押しつけてきた「日米構造協議」などと違い、日本が主導的に設けた点も意味がある。放っておけば中国のように「100日計画」を作らされたりし兼ねないところをその前段階で踏みとどまり、極めてわずかとはいえ将来的なTPPへの米復帰の可能性さえ残している。麻生氏が記者会見で、「これまでは(日米間は)摩擦という言葉が象徴的だったが遠い過去になりつつある」と強調したのも印象的だ。

   とはいえ、日本としては米側の体制が整っていないことに助けられた面もある。例えばケネス・ジャスター大統領副補佐官は今回来日しなかった。国際経済を担当し、トランプ大統領のシェルパ(個人代表)も務め、日米経済対話では米国の事務方の事実上トップ。トランプ政権の官僚人事承認が遅れるなか、具体策に踏み込めないことが明白なため「ジャスター氏来日に及ばず」と米側が判断したようだ。

   ただ、トランプ政権はTPP離脱によって、TPPで決めた対日輸出時の関税引き下げなどの恩恵が得られない。日本と経済連携協定(EPA)を結んだオーストラリアは、日本に輸出する牛肉の関税が段階的に19.5%まで下がる中、38.5%の米国産が不利な状況は続く。通商政策の司令塔となる米通商代表部(USTR)代表に内定したライトハイザー氏の議会承認が遅れているが、強硬派で知られるライトハイザー氏以下の承認人事が具体的に動き出せば、日本側の目論む「時間稼ぎ戦略」の有効性は風前の灯火となる可能性もある。

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