「ライフスキル」が多いと経済状態もよくなる
「米科学アカデミー紀要」のプレスリリースによると、ステプトー教授らは10項目のライフスキルのうち、特に重要な「感情の安定性」「決断力」「自己管理能力」「楽観主義」「誠実さ」の5項目を選び、健康状態との関連を調べた。英国の健康調査に参加した52歳以上の男女約8100人を対象に「ライフスキル能力」を測る国際規格の心理テストを行なった。たとえば、「楽観主義」を評価するためには、「人生はチャンスに満ちていると思うか」などの問いに対し、「全くそう思わない」から「非常に強くそう思う」まで7つのランクで答える。一定の点以上を取ると、「楽観主義のスキルがある」と評価される。
この結果、これらのライフスキルを多く持つ人の方が健康状態は良く、慢性疾患が少なく、うつ症状や社会的な孤立も少なく、経済的にも安定していることがわかった。ライフスキルが最も少ないグループ(スキルが0~1個)と、最も多いグループ(スキルが4~5個)を比較すると、少ない人は23%もうつ症状があったが、多い人は3%だけだった。スキルが少ない人は約半数が強い孤独感を訴えていたが、多い人は11%だけだった。また、「全般的な健康状態」を聞くと、少ない人は約3分の1が「良くない」と答えたが、多い人で「良くない」と答えたのは6%だけだった。
今回の結果は、改めて世界保健機関が推奨する「ライフスキル」の獲得が健康にいいことを示した形だ。ステプトー教授はプレスリリースの中でこうコメントしている。
「ライフスキルはどれか1つが重要ということはなく、何個のスキルを持っているかによって、健康度が違ってきます。多く持てば持つほど健康になれるようです。驚いたことに、若い時に身に着けると、年をとってからの経済的状態や心身の健康、慢性疾患の発症などに幅広く影響を与えるようです」
あなたは、10項目のうち、いくつに自信があるだろうか。