東京23区の北部を横断する都電荒川線に、新しい愛称「東京さくらトラム」が付けられた。
小池百合子都知事が「外国人を含む観光客の方にも親しみやすい」と胸を張る愛称だが、古くから親しむ利用者らからは「『都電』のままでいい」「定着しない」といった声も出ている。
「ローズ」など8候補から選ばれた
都電荒川線の愛称は2017年3月17日から、4月7日まで、都交通局のウェブサイトや、都営地下鉄各駅設置の応募箱、そして郵送で応募を受け付けた。愛称案はすべて「東京○○トラム」の形式で、○○の部分を「さくら」、「ローズ」、「フラワー」、「ブルーム」、「クラシック」、「レトロ」、「ノスタルジック」、「レガシー」の8候補から選ぶ。ひとり2つまで選択可能で、2218人から、3459件の応募があった。そのうち「さくら」は25%の支持を得て、次点のレトロ(18%)以下を引き離している。
4月28日に発表された、この新愛称。小池知事は同日の定例会見で、選定理由をこう語っている。
「『イメージにも合っている』ということとか、日本と東京を象徴する桜でございますので、『外国人にも親しまれるだろう』、それから『平仮名で日本らしさがある』など、さまざまなご意見を頂戴いたしまして、それらを踏まえて、外国人を含む観光客の方にも親しみやすい愛称といたしました」
東京オリンピックまで、あと3年。国際都市化を視野に入れた決定と思われるが、これまで「都電」に思い入れのあった利用者の中には、あまり良い気分ではない人もいるようだ。ツイッターでは、
「そんな長いの定着する訳ない」
「荒川線でいいじゃん。というか荒川線がいい」
「てか桜咲いてない時に東京さくらトラムなんて言ってどうするのよ」
といった反応が出ている。
どれだけ浸透しているか、調べてみた
J-CASTニュース記者は5月2日、実際に都電に乗り、新愛称がどれだけ浸透しているか調べてみた。王子駅前停留所から乗り込むと、ドア上の路線図に「東京さくらトラム(荒川線)路線図」のシールが張られていた。ドアには、荒川線のマスコット「とあらん」が描かれている。「『と』でん『あら』かわせ『ん』」から4文字を取ったキャラクターだ。この子も「さくらん」とか「とらむん」に改名するのだろうか。
新庚申塚停留所は、近くの西巣鴨駅(都営三田線)と、徒歩で乗り換えできる。同じ東京都交通局の管轄とあって、西巣鴨駅の構内には目新しい「東京さくらトラム(荒川線)」の看板が設置されていた。一部出入口には「都電荒川線」のままの案内板があったが、ほとんどが「都電」無しになり、英語表記も「Arakawa Line」から「Tokyo Sakura Tram」へ修正されている。定着に向けた、都の本気度が見て取れた。
なお「東京さくらトラム」沿線には、飛鳥山公園(北区)など桜の名所だけでなく、バラも多く植えられていて、見ごろを迎える5月には期間限定の「都電バラ号」が走る。