やはり美人は特別だった。
女子テニスのマリア・シャラポワが復帰大会で存在感を示し、多くのファンを楽しませた。
「資格のない選手が出るのはおかしい」
シャラポワの打つ度に叫ぶ声がコートいっぱいに広がった。ポルシェ・グランプリは彼女の出場で大いに盛り上がった。準決勝で敗れた(2017年4月29日)ものの、テニスファンは大満足だった。
「最初の試合は感情的だったけれど、その次からの試合は落ち着いてプレーできたわ」
そのコメント通り、大会前から注目された復帰劇だった。ドーピング処分を受けて以来、1年3か月ぶりの試合で、しかも出場のいきさつも特例との批判があった。
シャラポアがドーピング検査に引っ掛かったのは16年3月。国際テニス連盟の処分「2年間の停止」を裁判に持ち込んで「停止15か月」に短縮するなど、カムバックに執念を燃やしていた。
今回の出場は「主催者推薦」の資格だった。
当然、選手たちから文句が出た。
「故障や病気などでランキングを落とした選手に与えられるのが主催者推薦ではないのか」
「資格のない選手が出場するのはおかしい」
そんなことはおかまいなしにシャラポアは現れた。188センチ57キロの大型のスリムな体型は健在で、なによりも美形は存在だった。30歳とは思えなかった。
ポルシェもナイキも大満足
主催者のポルシェはシャラポアをブランドの親善大使としており、注目度の結果に満足だったことはいうまでもない。
「契約は継続する」
大型スポンサーのナイキも商品価値の高さにぞっこんだった。
批判的だったメディアも、そのプレーに圧倒され、逆にシャラポア健在を認めたほどである。
シャラポアは初優勝が全英で、以来、グランドスラムで優勝を重ねている。全仏で2度をはじめ全豪、全英、全米を1度ずつ制覇。シングルスで世界1位になったこともある。
それにその美貌からファッションモデルとしても活躍。その収入で女子世界2位にランクされたという。
こんな絵になるタレントは現在のテニス界にいない。主催者が何を言われようとも出場させたのはビジネスとしては当たり前の話だろう。シャラポアの批判をねじ伏せた復帰劇だった。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)