2020年の東京五輪・パラリンピックの前後に東京ビッグサイト(東京都江東区)の利用が大幅に制限される問題に関し、東京都の小池百合子知事が2017年4月29日、幕張メッセ(千葉市)で行われていた「ニコニコ超会議」のステージで質問に答えた。
ビッグサイトは、毎年8月と12月に開かれる同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)」の会場として知られ、「イベントに影響が出ないか心配」といった声も出た。小池氏の返答は「確認します」。仮設の代替会場を使うとも説明したが、それでも面積が足らなくなる可能性を記者から指摘されると、「よく皆さんの声を聞いていきたい」と述べるにとどまった。
2020年7~9月の3か月間は利用可能面積「ゼロ」
東京ビッグサイトの展示面積は約9.6万平方メートルで、日本最大の展示場として知られる。年間300件程度のイベントが開かれ約1600万人が来場する。これらの展示会は、中小企業の重要な商談の場としても機能している。
ところが、ビッグサイトは東京五輪では国際放送センター(IBC)とメインプレスセンターとして使用されるため、展示場としての使用が大幅に制限される。6.7万平方メートルある東展示棟は19年4月から20年11月までの1年8か月間、2.9万平方メートルの西展示棟は20年5月から9月の5か月間使えなくなる。19年7月に「南展示棟」(2万平方メートル)が新設され、同4月に仮設の「青海展示棟」(2.3万平方メートル)が使えるようになるが、セキュリティーの関係で南展示棟は5~9月、青海展示棟は7~9月の間は利用できない。つまり、20年7~9月の3か月間は、ビッグサイトで展示場として利用できる面積は「ゼロ」になる。
「毎年毎年、本当に楽しみにしているコミックマーケットというイベントが...」
こういったことを念頭に、ステージではコスプレ姿の女性が、
「私たちが毎年毎年、本当に楽しみにしているコミックマーケットというイベントがあるが、東京ビッグサイトの使用が制限されることによって、イベントに影響が出ないか心配がある。コミックマーケットとかのイベントって、通常通りに開催される予定なんでしょうか?」
と質問。小池氏は数秒の沈黙の後に
「確認しておきます。要はね、仮設の会場を使うんですよ」
と述べるにとどめ、司会の夏野剛氏が
「それは幕張でやろう。幕張でやれば大丈夫。五輪期間中は本当に準備も大変なので、使えない施設はどうしても出てくる。でも、それ以上に人が沢山来るから、これは日本のチャンス」
と、その場を収めた。
「よく皆さんの声を聞いていきたい」
その後のぶら下がり取材では、記者から次のような質問が出た。
「実際、幕張メッセと東京ビッグサイトで16万平方メートルぐらいある。それに対して仮設会場は3~4万。実質ゼロの期間もあり、かなり中小企業からは『困る』という声もあがっている。メディアセンターを他に移せないかという声もあがっている」
これに対し小池氏は、「よく皆さんの声を聞いていきたいと思います」と述べるにとどめた。
この日の小池知事は、コミケ以外にもVR(仮想現実)といった新技術についても質問を受けた。民進党の蓮舫代表の追及を仮想体験できる「VR蓮舫」について、
「小池知事がVR蓮舫をご存じであれば、どういう感想をお持ちか。都知事の方でもVRを活用したコンテンツを用意する意向はあるか」
という質問が出たが、小池氏は
「質問の意味があまりよく分からなかったので、ノーコメントです」
と、素っ気なかった。