人口が約400人と過疎化が進む高知県大川村が、村議の定数確保が難しくなり、地方自治法に基づき「村議会」を廃止し、有権者が予算などの議案を直接審議する「町村総会」の設置について検討を始めた、とNHKや大手新聞が報じたことで、大川村は「ニュアンスが全く違っている」と頭を抱えることになった。
J-CASTニュースが同村議会事務局に取材したところ、「村議会を存続するのが基本方針です」と語った。ではどうしてこのような報道がなされたのだろうか。
記者から「その後どうなっていますか?」の問い合わせ
NHK、毎日新聞、産経新聞などの報道によれば、離島を除く全国の自治体として最少規模の高知県大川村が、村議会を廃止し「村総会」の設置を検討していることが2017年5月1日に分かった。1960年に4114人だった人口が今は約400人と過疎化が進み、議員の平均年齢は70歳を超えたことで、定員の6人以上の村議立候補が難しくなったためだ。手続きや課題は国や県と相談しながら解決し、6月の村議会で報告することにしている、といった内容だ。
ところが、同村の議会事務局にJ-CASTニュースが5月2日に取材したところ、
「検討しているのは事実ですが、ニュアンスが違っているため、村内外からの心配の電話が相次いでいるんです」
と頭を抱えていた。ではどうしてこんな記事が出たのか。担当者によれば4月下旬に、ある記者から、
「その後どうなっていますか?」
という問い合わせがあったのだという。「その後」というのは「町村総会」の設置についてだ。
2013年、議会運営委員会議長の諮問の一つに「町村総会」の設置が盛り込まれていた。それを14年にかけ審議したのだが、地方自治法の規定を見ても具体的な手法が想像できないし、高齢化が進む村民の現状を考えても、何割の人が総会に集まれるのかどうかも分からない。当時は「道州制」が提案されていたため、結論を出す時期ではない、ということになった。ただし、もしも将来的に議員定数を割ってしまい議会組織ができなくなった時に慌てないように、勉強は続けるべき、ということになった。